ベトナム社会主義共和国

平成28年5月5日
5日(木曜日)、18時50分から約60分間、ベトナムを訪問中の岸田文雄外務大臣は、ベトナム政府迎賓館において、ファム・ビン・ミン・ベトナム副首相兼外務大臣(H.E.Mr. Pham Binh Minh, Deputy Prime Minister and Minister of Foreign Affairs, Socialist Republic of Viet Nam)と外相会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。

1 冒頭

ミン副首相から、岸田大臣のベトナム訪問を心から歓迎すると述べ、先般の熊本地震の被害に対しお見舞いと哀悼の意が示されました。また、同副首相は、昨年9月のチョン書記長の訪日の際に発出された「日越関係に関する共同ビジョン声明」において一致をみた協力の方向性が更に進展するよう、本日の会談が有意義なものになることを期待する旨述べました。岸田大臣から、1月のベトナム共産党大会の成功と、同大会においてミン副首相が政治局員に就任したことに祝意を伝達し、新指導部との間でも、「広範な戦略的パートナーシップ」の下、あらゆる分野での協力を強化し、要人往来や、政財界の交流は重要であり、共に促進していきたい旨述べました。また、先日の熊本地震被害に対し、ミン副首相からお見舞いの言葉が寄せられたことに謝意を示しました。

2 二国間関係

ミン副首相から、日ベトナム関係が発展していることに満足の意が示され、先般の党大会で採択された文書において、日本を最も重要且つ長期的なパートナーと見なしていることが紹介され、「広範な戦略的パートナーシップ」関係の下、引き続きあらゆる分野で協力を強化したい旨言及がありました。また、G7アウトリーチ会合にフック首相が招待されたことに謝意が示されると共に、同会合においても緊密に日本と連携し、フック首相は会議の成功のため積極的に貢献するつもりであるとの意向が示されました。また、戦略的パートナーシップ対話をはじめとする外務省間の対話の強化と、昨年9月に署名された防衛当局間の協力覚書に従い、防衛分野の協力強化に対する期待が述べられました。海洋の問題については、従来の中古船供与等を通じた日本のベトナム海上法執行機関に対する協力に謝意が示され、引き続き新造巡視船の早期供与に向けて協力を希望する旨要請がありました。

岸田大臣から、昨年秋以降、チョン書記長の訪日、日越戦略的パートナーシップ対話等の二国間協議、参議院議長の初のベトナム公式訪問等、二国間関係の発展を歓迎しました。また、日本としてはODAを通じて地域のけん引役であるベトナムの経済発展を支援し、特に、ベトナムにおける干ばつ、塩害対策については、目下深刻な問題と認識しており、具体的な支援についてベトナムとともにしっかり検討したい旨伝達しました。また、ベトナムとも海洋安全保障協力を含め、緊密に連携していくことに言及し、ベトナムの海上法執行能力の強化について、これまでに実現した6隻の中古船供与に加え、追加の船舶や海上保安機材の供与を迅速に進めたいと述べました。更に、新造巡視船の供与に向けて、現在調査を進めており、こちらもスピード感をもって対応していきたい旨伝えました。

3 地域情勢・国際場裏での協力

地域・国際場裏の問題については、岸田大臣から、本年のASEAN関連会議において、日本は、ASEAN共同体強化、EAS強化の着実な実施等地域の喫緊の課題への対応を日本が重視していることを伝えました。また、南シナ海問題については、一方的な現状変更の試みに対する懸念が共有され、こうした問題についてASEANが一体となってメッセージを発出することが重要であるとの認識を共有し、法の支配、国際法に基づく紛争の平和的解決、航行および上空飛行の自由の重要性について一致しました。

ミン副首相からは、日本のこれまでのASEANとの協力に謝意が示されると共に、ASEANの中心性を引き続き支持するよう要請がありました。また、ミン副首相から、5月2日に岸田大臣がバンコクで行ったスピーチを歓迎する旨発言があり、ASEANと日本の関係において連結性は重要であり、ベトナムの考えと一致する旨発言がありました。

また、北朝鮮問題に対しては、岸田大臣から、北朝鮮が核・ミサイル開発を継続していることを深刻に受け止めている、安保理決議の厳格な履行を含め、北朝鮮に対する圧力を強化していくことが重要である、拉致問題をはじめとする北朝鮮の人権侵害についてもASEANと協力していきたいと述べたのに対し、ミン副首相から、ベトナムは一貫して拉致には反対の立場であり、朝鮮半島の非核化についても、国連安保理決議の厳格な履行を支持する旨発言がありました。

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