ベトナム社会主義共和国
グエン・フー・チョン・ベトナム共産党中央執行委員会書記長の訪日(結果)
平成27年9月24日
9月15日(火曜日)から18日(金曜日)まで,グエン・フー・チョン・ベトナム共産党中央執行委員会書記長は,公賓として訪日したところ,概要は以下のとおり。
1 日程の概要
15日:歓迎行事,岸田外務大臣による表敬,安倍総理との会談,署名式・共同記者発表,総理主催晩餐会
16日:天皇陛下御引見,参議院議長表敬,在京ベトナム大立ち寄り
17日:衆議院議長表敬,歓迎レセプション
18日:神奈川県訪問(企業訪問,黒岩知事との会談,ベトナムフェスタ開会式等出席)
16日:天皇陛下御引見,参議院議長表敬,在京ベトナム大立ち寄り
17日:衆議院議長表敬,歓迎レセプション
18日:神奈川県訪問(企業訪問,黒岩知事との会談,ベトナムフェスタ開会式等出席)
2 公賓訪問の成果
- 6年ぶりのベトナム共産党書記長の公賓訪日であり,ルア党中央組織委員長(政治局員,越日友好議連会長)やミン副首相兼外相を含む閣僚級以上とされる党中央委員12名(6年前の前書記長の公賓訪日時には5名の党中央委員)が同行。2014年3月のチュオン・タン・サン国家主席の国賓訪日の機会に「広範な戦略的パートナーシップ」に格上げされた日ベトナム関係を,引き続き維持・発展させていくことを確認する機会となった。
- 安倍総理大臣とチョン書記長の間で行われた会談において,両首脳は,日越間の協力を網羅し,今後の関係発展の基礎となる日越共同ビジョン声明を発出。
- ベトナム側より,日本が歴史の教訓を得て平和国家として歩んだことを評価し,地域及び世界の平和,安全,協力及び開発のための建設的な立法,政策及びイニシアティブを含む日本の平和と開発のための積極的な貢献を歓迎する旨が示された。
- 明年のベトナム共産党大会における指導部交代を見据え,従来から協力が進展していた経済・経済協力分野に加え,PKO協力や海上保安機関の協力を含む政治・安全保障,農業,TPPを含む地域・国際社会における今後の具体的協力を引き続き推進することを確認。
- 海洋問題に関しても,大規模な埋立てやその目的を軍事利用としていること等に対し,深刻な懸念を共有した。
- 日本の地方(神奈川)を訪問。民間企業の視察を行い,県知事との会談において地方自治体間の協力強化を確認すると共に,「ベトナムフェスタin神奈川2015」開会式及び日ベトナム投資環境セミナーにおいてスピーチを行った。訪問先から大きな歓迎を受け,交流の裾野が拡大された。
3 主要行事の概要
(1)岸田外務大臣による表敬
15日(火曜日)16時30分から,岸田大臣がチョン書記長を表敬し,今回の訪問はアジアの平和と繁栄のために両国関係を更に包括的に進化させる狙いがあり,今次訪問が両国関係を更に発展させる機会となることを期待するとした。- 先方から,戦後70年間に亘り日本及び日本国民が成し遂げた成果を祝福するとともに,日本のベトナムに対するODA,特に交通分野を中心とするインフラ支援は大変有意義であり,迅速な援助に感謝する旨述べるとともに,日本による地域の平和及び安全に対する積極的な貢献への支持を表明。
- 南シナ海について意見交換し,地域の安全並びに航行及び上空飛行の自由を維持する重要性を確認するとともに,引き続き連携していくことで一致。
(2) 安倍総理大臣との会談及び共同声明
15日(火曜日)17時30分から1時間余り実施され,会談後には両首脳が共同声明を発出。- 先方は,日本が歴史の教訓を得て平和・発展の道を歩み,地域の平和と発展に一貫して貢献してきたことを高く評価するとともに,日本が地域と世界の安全保障と発展に積極的に貢献することへの支持を表明。
- 南シナ海での大規模な埋立てや拠点構築等,現状を変更し緊張を高める一方的行為の継続に対する深刻な懸念を共有。安倍総理は,ベトナムの要請を踏まえ,中古船の追加供与の決定を伝えるとともに,新造巡視船の供与については,早期実現に向けて双方で協議を続けていく旨を確認。
- 拉致問題を含む北朝鮮問題,安保理改革についても意見交換し,東アジア地域包括的経済連携(RCEP)及びTPP交渉の早期妥結に向けた緊密な協力を確認。
(3)参議院議長(16日(水曜日))及び衆議院議長(17日(木曜日))表敬
- 本年3月にベトナムが主催した列国議会同盟(IPU)総会の成功に祝意が示され,チョン書記長からも,同総会の日本代表団の積極的な貢献に謝意が示された。
- 議会間・議員間交流における両国の友好議員連盟の役割に高い評価が示され,引き続き議会間・議員間交流を促進していくことが確認された。
(4) チョン書記長講演会
17日(木曜日),チョン書記長は帝国ホテルにおいて,「アジアの平和と繁栄を目指して~越日関係の発展ビジョン」をテーマとして講演会を行った。- 日・ベトナム間の国民間の交流は非常に長い歴史に裏付けされたもの。
- 日本はベトナムに対する最大のODA供与国且つ第二位の投資国。それら支援や投資は,常にベトナムのドイモイ(刷新)事業にも適したものとなっている。
- 日本企業の製品はベトナム市場だけでなく,ベトナム国民の心も掴んでいる。
- 経済大国である日本の繁栄はアジアの発展に直結。これまでの日本の平和的発展は,地域の平和と安定にとって建設的な意義を有しており,日本がその潜在性とこれまでの貢献を踏まえ,アジア太平洋地域及び世界において相応しい役割を発揮することを期待。
- 日本とベトナムは相互に利益を有する関係であり,ベトナムは日本を長期的且つ最重要のパートナーであることを確認している。それは,ベトナムの対外政策において一貫し,戦略的選択を行った方針。引き続き両国間の潜在性のある分野の協力拡大を期待。