アジア

平成26年3月19日
 3月16日(日曜日)から19日(水曜日)まで,チュオン・タン・サン・ベトナム国家主席は,令夫人とともに,国賓として訪日したところ,概要は以下のとおり。

1 日程の概要

16日:茨城県訪問(農業関連施設視察,農業分野の協力文書署名等)
17日:歓迎行事,天皇皇后両陛下御会見,日本側経済関係者等との交流,宮中晩餐会
18日:日越友好議連主催朝食会,国会演説,日越首脳会談・署名式・共同記者発表,安倍総理夫妻主催晩餐会
19日:天皇皇后両陛下御訪問,大阪府訪問(関西自治体,経済界との交流)

2 国賓訪問の成果

  • 7年ぶりのベトナム国家主席の国賓訪日であり,ミン副首相兼外相を含む閣僚7名(7年前は4名),50~60名のベトナム経済界関係者等が同行。2013年の「日越友好年」(日越外交関係樹立40周年)の機会に両国関係が強化された流れを受け,将来に向けた更なる関係強化を確認する機会となった。
  • 安倍総理大臣とサン国家主席の間で行われた日越首脳会談において,日越関係を従来の「戦略的パートナーシップ」から,「広範な戦略的パートナーシップ」という新たな協力の次元へと発展させることで一致。両首脳は,日越間の協力を網羅し,今後の関係発展の基礎となる日越共同声明に署名。(PDF)
  • 日越双方の成長戦略を踏まえ,農業,教育,保健・医療の各分野で新たな協力の枠組みを立ち上げ,今後の具体的協力を推進することになった。
  • サン国家主席による国会演説を通じ,日越関係の発展,及び,日本が政治・安全保障及び経済の両面において一層の役割を果たすことへの期待が,国内外に発信された。444名の我が国国会議員が出席・傍聴したことは,これまで培われた日越議員交流の深さを示すもの。
  • 日本の地方(茨城,大阪)を訪問。農業や投資などの分野で視察・意見交換を行い,訪問先から大きな歓迎を受け,交流の裾野が拡大された。

3 主要行事の概要

18日(火曜日)17時45分から1時間余り実施され,会談後には両首脳が共同声明に署名。
  • 日越関係を「アジアにおける平和と繁栄のための広範な戦略的パートナーシップ」という新たな協力の次元へと発展させることで一致。また,要人往来をはじめとする対話の強化で一致。
  • 海洋安全を含む政治・安全保障分野での協力を強化することで一致。安倍総理から巡視船艇等供与に向けた調査団を派遣することを表明し,先方から謝意表明があった。
  • 「アベノミクス」とベトナムの「工業化戦略」を通じてウィン・ウィンの経済関係を構築していくことにつき認識を共有し,「日越共同イニシアティブ」等を通じて,投資環境整備を更に進めることで一致。特に,首脳会談に際し,円借款5案件(約1,200億円)の交換公文に署名。また,農業,教育,保健・医療分野について,それぞれ協力文書が署名・交換された。(一覧(PDF)
  • 文化・人物交流面の協力に関する定期的協議の設置に向け協議を進めることで一致。
  • 地域・国際情勢につき意見交換。ASEAN,メコン等の枠組みでの協力を進めることで一致。越は,日本が提案する日ASEAN防衛担当大臣非公式会合に支持を表明。南シナ海行動規範(COC)の早期確立等,海洋安全に関する意見が一致。
  • 朝鮮半島の非核化および拉致問題解決に向け協力することで一致。また,ウクライナ情勢についても意見交換
(2)国会演説(18日(火曜日))

サン国家主席は,衆議院本会議場において演説し,「政治面における信頼,両民族間の文化的共通性と結びつき,そして過去40年間にわたる堅固な協力関係の印象的な成果は,二国間関係を引き続き新たな高みへと発展させ,広範な戦略的パートナーシップの素晴らしい未来に向かう堅固な基礎と力強いエンジンである」旨述べるとともに,以下の諸点等に言及した。
  • 日本はベトナムの工業化,近代化における大きな,重要なパートナーである旨表明。
  • 日本からのODAに対する謝意,日本からの投資拡大への期待。
  • 日越大学構想を含む,教育・人材育成分野への日本の支援への期待。
  • 日本の安保理常任理事国入り,世界の平和・安定・発展に対する積極的な貢献を支持。
  • 「アベノミクス」を評価。
  • 海洋問題に関し平和的手段による解決,武力の使用及び武力による威嚇の自制を主張。
  • 日越関係強化における日越両国国会,及び,両国の友好議員連盟による貢献を評価。
(3)茨城県訪問(16日(日曜日))

農業協力を進展させる目的で,茨城県を訪問。茨城県農業総合センター等の農業関連施設視察,越農業・農村開発省と茨城県の農業協力に関する覚書の署名,橋本茨城県知事との会談及び来県歓迎会に出席した。
 
(4)大阪府訪問(19日(水曜日))

大阪府を訪問し,日本ベトナムビジネスフォーラムに出席した他,関西経済界及び松井大阪府知事,井戸兵庫県知事,山下京都府副知事等関西の地方自治体関係者からの表敬を受けた。京都府とフエ省の交流促進覚書に署名。

アジアへ戻る