アジア

平成26年3月18日
(写真提供:内閣広報室)
(写真提供:内閣広報室)
 本18日午後5時45分から約1時間、安倍晋三内閣総理大臣は、国賓として訪日中のベトナムのチュオン・タン・サン国家主席との間で日越首脳会談を実施したところ、概要は以下のとおり。会談後、両首脳は日越共同声明に署名するとともに、円借款に関する交換公文及び農業、教育、保健・医療分野の協力文書の署名に立ち会い、また、共同記者発表を行った。(協力文書一覧(PDF)共同声明(PDF)同仮訳(PDF)骨子(PDF)

1 冒頭発言

 安倍総理から、昨年10月にインドネシア・バリのAPECで会談して以来の再会を喜び、昨年の「日越友好年」(日越外交関係樹立40周年)の成功裡の終了を祝するとともに、日越関係は相互の信頼を基礎に大きく発展しており、今後、「広範な戦略的パートナーシップ」という新たな次元の協力関係を発展させたい旨述べた。
 これに対し、サン国家主席から、安倍総理が就任後初の外遊先にベトナムを選んだことを改めて高く評価する、「日越友好年」が成功裡に終了したことを共に祝いたい、両国関係を「広範な戦略的パートナーシップ」として発展させていくことについて同意する旨述べた。またサン国家主席は、今後とも日越間の頻繁な首脳間の往来を含むハイレベルの交流を続け、信頼関係を構築していきたいとの期待を述べた。

2 政治・安全保障

 安倍総理から、日本が国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の立場から、地域及び世界の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に寄与していくことを説明。サン国家主席からは、引き続き日本が地域及び世界の平和と安定のため、積極的かつ建設的に貢献していくことを強く期待する旨述べた。またサン国家主席は、テロ、国際犯罪、サイバーセキュリティといった非伝統的安全保障の分野における日本との協力について期待が表明された。

3 海洋分野の能力向上

 安倍総理から、海洋安全に関し、日越協力を一層進めるべく、ベトナムへの巡視船艇等供与に向け、近日中に調査団を派遣する旨表明した。サン国家主席からは、これに対する謝意が表明された。

4 経済関係・開発協力

 安倍総理から、「アベノミクス」とベトナムの「工業化戦略」を通じてウィン・ウィンの経済関係を発展させたい旨述べるとともに、日本はベトナムの経済社会開発支援を重視している、今般5件総額約1,200億円にのぼる円借款への署名が行われることは喜ばしい、ベトナムのインフラ需要に対応するため、官民連携(PPP)を積極的に推進していく旨述べた。また安倍総理は、日越共同イニシアティブ等を通じた、ベトナムの投資環境整備進展を歓迎するとともに、投資環境改善に向けてサン国家主席のさらなる貢献を期待する旨述べた。
 これに対しサン国家主席は、これまでの日本からのインフラ整備をはじめとする社会建設への貢献及び今般署名される円借款供与案件に謝意を表明しつつ、今般、教育、農業、保健・医療の分野で協力文書に署名されることになったことは喜ばしい旨述べた。また、日本企業の更なる投資促進の観点から、ベトナム政府としてもビジネス環境整備に努力するとの発言があった。

5 文化・人物交流 

 両首脳は、日越関係の幅を広げていくため、文化・人物交流面の協力に関する定期的協議の場の設置に向け協議を進めることで一致した。安倍総理は、昨年12月に発表した「文化のWA(和・環・輪)プロジェクト」等を活用して文化交流を推進したい旨述べた。
 また両首脳は、2019年のベトナムにおけるアジア競技大会、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの成功に向け協力していくことで一致した。

6 地域・国際場裡における協力

 両首脳は、日ASEAN及び日メコンといった枠組みにおける協力を緊密に進めることで一致したほか、海洋に係る問題を含む地域・国際情勢についても意見交換を行った。この関連で、両首脳は、南シナ海行動規範(COC)を早期に確立すべきことで一致するとともに、サン国家主席から日本が提案した日ASEAN防衛担当大臣非公式会合に支持を表明し、安倍総理からは、ベトナムが第3回ASEAN海洋フォーラム拡大会合の開催を積極的に検討していることを歓迎した。
 また、北朝鮮について、両首脳は朝鮮半島の非核化及び拉致問題解決に向け協力することで一致した。さらに、両首脳は現下のウクライナ情勢についても意見交換した。

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