ベトナム社会主義共和国
日・ベトナム首脳会談
19日、ベトナムを訪問中の菅義偉内閣総理大臣は、グエン・スアン・フック首相(H.E.Mr. Nguyen Xuan Phuc, Prime Minister of the Socialist Republic of Viet Nam)による歓迎式典に引き続き、午前8時50分頃(現地時間)から約80分間、同首相と首脳会談を実施したところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
フック首相から、菅総理の総理大臣就任に改めて祝意を表し、ベトナム訪問を歓迎しました。
菅総理は、総理大臣就任後初めての外国訪問先として、ベトナムを訪問でき嬉しい、ベトナムは「自由で開かれたインド太平洋」を実現する上で要となる重要なパートナーであり、新政権においても引き続き、「インド太平洋国家」として地域の平和と繁栄のために連携し、貢献していきたい旨述べました。これに対し、フック首相からは日本の変わらぬ立場を歓迎するとともに、菅総理と緊密に連携していきたい旨発言がありました。
2 新型コロナからの回復
両首脳は、ビジネストラックの運用開始と、双方向の定期旅客便の再開について合意しました。フック首相からは、これらの合意について歓迎するとともに、日本からの40億円規模の医療物資・機材支援及び技術協力に対し、謝意を述べました。
また、菅総理は、サプライチェーンの多元化を図る日本企業の取組の後押しに力を入れている旨述べるとともに、コロナ禍で生活に困っている技能実習生・留学生などの在日ベトナム人への支援を行っている旨述べました。フック首相からは、日本政府の取組に感謝する、引き続き在日ベトナム人への配慮をお願いしたい旨発言がありました。
両首脳は、両国で協力し、新型コロナからの回復軌道を描いていくことで一致しました。
3 二国間関係
(1)人道支援・防災協力
菅総理は、ベトナム中部で豪雨により甚大な被害が出ていることを受け、日本が緊急援助物資を供与するとともに、防災大国である日本の知見や経験を共有していきたい旨述べました。これに対し、フック首相から支援について感謝する旨発言がありました。
(2)特定技能・技能実習
菅総理は、特定技能についてベトナムからの送出し手続が整備されたことを歓迎しました。また、両首脳は、技能実習及び特定技能における悪質なブローカーの介在や、訪日する際の過度な費用負担の排除のため、引き続き協力することで合意しました。
(3)経済協力・経済関係
菅総理は、ホーチミン市の水環境改善計画及び地球観測衛星開発計画について早期の国際約束締結に向けて連携していきたい旨述べるとともに、ホーチミン市都市鉄道1号線の早期完工等、ベトナム政府と協力してインフラ整備等を進め、引き続きベトナムの経済発展を支援していく旨述べました。フック首相からは、日本はベトナムにとって最大のODA供与国であり、これまでの日本の支援に対する謝意が表明されました。
また、両首脳は、農業分野において、日本産うんしゅうみかんの解禁とベトナム産生果実の検査体制の簡素化、ベトナム産リュウガンの解禁の早期実現を目指すことで一致しました。
(4)安全保障
両国間で、防衛装備品・技術移転協定が実質合意に至ったことを歓迎しました。また、先般の海上自衛隊護衛艦及び潜水艦のカムラン湾寄港を含め、両国間の安全保障協力が着実に進展しているとの認識で一致しました。また、フック首相から、テロ対策資機材供与に関する国際約束が締結されたことを歓迎する旨述べました。
(5)外交関係樹立50周年
菅総理は、2023年は日ベトナム外交関係樹立50周年であり、経済・文化・人的交流を活性化させる契機としたい旨述べました。これに対し、フック首相は、50周年に向け、菅総理と緊密に連携したい旨述べました。
4 地域情勢
菅総理は、「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」と「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」は多くの本質的な共通点を有しており、日本はAOIPを全面的に支持する旨述べるとともに、11月に予定されるASEAN関連首脳会議に向けて協力を進めたい旨述べました。
これに対し、フック首相から、ベトナムはAOIPとFOIPの連携を支持する、ASEAN関連首脳会議に向け、引き続き協力していきたい旨述べました。
また、両首脳は、南シナ海や北朝鮮を含む地域情勢についての緊密な連携を確認するとともに、拉致問題の早期解決について、フック首相から支持を得ました。
菅総理は、来年、日メコン首脳会議を日本で開催する予定であり、フック首相を日本に招待したい旨述べました。