ミャンマー連邦共和国
安倍総理大臣とティン・チョウ・ミャンマー大統領との会談



1 冒頭
安倍総理大臣から,訪日を歓迎する,ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)フォーラム2017への出席に感謝,ティン・チョウ大統領は,お父上の時代から日本と縁が深いと伺っている,伝統的な友好関係を共に発展させたい,現政権が民主的な国造りを進めていることを評価,日本は引き続き官民挙げて最大限支援していく,和平プロセスは,同席の笹川政府代表と連携して支えていく旨述べました。これに対し,ティン・チョウ大統領から,温かいおもてなしに感謝する,今回のUHCフォーラムを含めた訪問への招待に感謝する,また,日本政府,笹川政府代表による和平プロセスに対する支援は有意義であり評価する,感謝するとともに引き続きの支援をお願いしたい旨述べました。
2 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)
安倍総理大臣から,UHCフォーラム2017でのティン・チョウ大統領から御挨拶を頂いたことに感謝,ミャンマーは日本のUHC支援の重点国であり,UHCの実現を支えていく旨述べました。また,安倍総理大臣は,この実現のため,日本は,ダウェー等の地方総合病院や,ヤンゴンにおける専門病院の設立を支援する,また,地方の基礎保健,感染症,医療技術者等に関する技術協力を併せ,きめ細やかに支援する,ラカイン州でも血液銀行の設立に不可欠な機材を来年1月に供与予定である旨述べました。これに対し,ティン・チョウ大統領から,ミャンマー政府は,2030年のUHC達成を目指して取組を進めている,日本の保健分野での支援に感謝すると述べました。
3 二国間協力
安倍総理大臣から以下を述べました。
(1)「自由で開かれたインド太平洋戦略」の下,地域の連結性を高めることなどにより,ミャンマーと地域全体の安定及び繁栄に寄与したい。
(2)日本の官民からの合わせて8千億円の貢献について,「ヤンゴン都市開発」,「運輸」,「電力」を中心とした協力を加速していく。
(3)文化交流を推進するため,ヤンゴン日本文化センターの本年度中の仮設置を準備中。この機会に,教師育成への協力等を通じ日本語学習支援を強化したい。
これに対し,ティン・チョウ大統領から,日本の支援に感謝する,日本の様々な支援はミャンマーの国造りにとって重要である旨述べました。また,安倍総理大臣及び同夫人に対しミャンマー訪問を要請したのに対し,安倍総理大臣からは適切な時期に訪問したいと応じました。
4 ラカイン州情勢
(1)安倍総理大臣から,ラカイン州の人権・人道状況を懸念している,人権侵害疑惑に関するミャンマー政府自身の調査を継続し,必要な措置をとることを期待している旨述べ,ミャンマー政府による人権に配慮した治安回復,人道支援アクセスの拡大,避難民の帰還・再定住の進展を期待している,アナン助言委員会の勧告の着実な履行が重要であるとしてミャンマー政府の更なる取組を促しました。また,安倍総理大臣は,アウン・サン・スー・チー国家最高顧問が,「成果を出して国際社会に示す」と述べたことに勇気付けられた,取組の進展を国際社会に透明性をもって示してほしい,着実な実施に期待していると述べました。さらに,安倍総理大臣は,帰還に関するミャンマー・バングラデシュ合意を歓迎する旨述べました。
(2)これに対し,ティン・チョウ大統領から,日本がラカイン州の複雑な情勢を理解していることに感謝する,国際社会が人権侵害疑惑に関する調査を重視していることは承知しており,ミャンマー政府としても調査の結果,人権侵害の証拠があれば法に従って適切に処分する旨述べました。また,ティン・チョウ大統領は,ミャンマー政府は,アナン助言委員会の勧告を実施に移していく,日本を始めとする国際社会が懸念を示していることは理解しており,ミャンマーとして然るべく対応してきているところである旨述べました。
(3)続いて,安倍総理大臣から,日本が迅速に支援を実施する分野(PDF)として,ラカイン州のマウンドーとラテダウン間の道路を舗装する,また,マウンドー市から北方約35kmに送電線を引き,国境地域の人々に広く電力を供給したい,教育についても,15校程度の学校建設を行う旨伝えました。また,安倍総理大臣は,民間の支援も拡大しつつあるとして,日本企業が通信分野で事業参画していることを紹介し,官民で共にラカイン州の平和と安定を支えていく旨述べました。
(4)これに対し,ティン・チョウ大統領から,日本の支援に感謝する旨述べました。
5 地域・国際場裡の課題
北朝鮮問題に関し,両首脳は,あらゆる手段により圧力を最大限まで高め,北朝鮮問題の解決に向けて共に取組を強化していくことで一致しました。また,安倍総理大臣から,拉致問題に関する理解と協力を求めたのに対し,ティン・チョウ大統領から,日本の立場についての理解を得ました。