報道発表
世界島嶼国海洋会議「海面上昇と国際法」セッション
令和8年6月3日
6月3日午後0時45分から約1時間、外務省は、都内のホテルで、日本財団が主催し、外務省及びユネスコ政府間海洋学委員会(UNESCO/IOC)が共催している世界島嶼国海洋会議の特別イベントとして、「海面上昇と国際法」セッションを主催しました(関係国首脳他約50名が参加)。
スランゲル・S・ウィップス・ジュニア・パラオ大統領
御巫智洋国際法協力担当大使
ヒルダ・C・ハイネ・マーシャル諸島大統領
アンソニー・スミスJr・アンティグア・バーブーダ農業・国土・漁業・ブルーエコノミー担当大臣
イブラヒム・ミムラ・モルディブ気候変動・環境・エネルギー担当国務大臣
世界島嶼国海洋会議会場
- 開会の辞において、スランゲル・S・ウィップス・ジュニア・パラオ大統領から、気候変動による海面上昇をめぐる様々な課題への対処は正義の問題である、昨年のICJ勧告的意見やILC最終報告書等を通じて、既に国際法上の見解は明確に示されており、当該見解を基礎に国際社会が更なる議論を行い、協力していくことが重要である旨強調するとともに、その具体例として日本外務省が本セッションを主催したことに対する謝意の言葉が述べられました。
- 引き続き、御巫智洋(みかなぎ ともひろ)国際法協力担当大使から、海面上昇をめぐる国際法上の課題に関し、基線と海域の維持及び国家性の継続の論点に言及しつつ、これまでの島嶼国の努力への敬意及び日本の貢献に触れるとともに、日本を含む国際社会が今後議論すべき方向性等について、以下の論点提起を行いました。
- 気候変動による海面上昇によって、どのような影響を受けているか。
- 気候変動による海面上昇の脅威に対し、国際法は島嶼国の存続と権利をいかなる形で擁護することが期待されているか。
- 領土全体又は領土を構成する特定の地形の一部の水没を想定した時、いかなる協力が必要か。
- これを受け、関係国を代表して、ヒルダ・C・ハイネ・マーシャル諸島大統領、アンソニー・スミスJr・アンティグア・バーブーダ農業・国土・漁業・ブルーエコノミー担当大臣及びイブラヒム・ミムラ・モルディブ気候変動・環境・エネルギー担当国務大臣からそれぞれ、海面上昇によって、島嶼国の経済や国民の生活は深刻な影響を受けており、御巫大使による論点提起を踏まえつつ、海面上昇による領土の水没の問題は懸念ではなく、島嶼国が既に直面している現実であるため、国家としての要件の一つである領土を喪失しても、国家性は継続すべきであり、そのためにあるべき国際法の形成に向けて、国際社会が引き続き積極的に議論することが重要である旨述べました。
- 閉会の辞において、ウィップス大統領は、本セッションを通じて、海面上昇に関する国際法上の論点が明確になったとしつつ、パラオの遠隔離島を例に挙げながら、特に、国家性に影響を与えない地形が水没した場合であっても、国際法上、島嶼国を始めとする国家の排他的経済水域及び大陸棚を含む海洋権益は維持されなければならないと述べました。

