報道発表
ブラジル連邦共和国との劣化牧野回復に関する意向表明書の発表
令和7年3月26日
3月26日、迎賓館赤坂離宮にて、日本側から岩屋毅外務大臣及び江藤拓農林水産大臣が、ブラジル連邦共和国側からカルロス・ファヴァロ・ブラジル連邦共和国農業・畜産大臣(H.E. Mr. Carlos FAVARO, Minister for Agriculture and Livestock of the Federal Republic of Brazil)及びパウロ・テイシェイラ・ブラジル連邦共和国農業開発・家族農業大臣(H.E. Mr. Paulo TEIXEIRA, Minister for Agrarian Development and Family Farming)が署名する、ブラジルの劣化牧野回復に係る意向表明書が発表されました。
- 世界人口増加に伴い食料需要の増大を背景として、世界有数の農業国であるブラジルでは農業生産量を増やすべく農地転換のための森林伐採が進んでいました。こうした状況を踏まえ、ブラジル政府は、2023年(令和5年)12月、「劣化牧野を持続可能な農業生産と森林に転換するための国家プログラム(PNCPD)」を発表し、森林伐採を食い止めつつ農地を確保するための手段の一つとして、劣化牧野(不十分な土地管理や過放牧等により土壌が劣化した牧草地や農地)を農地に転換するための取組を進めています。
- また、ブラジルは、本年11月に予定される国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)を主催することとしており、2030年までの森林伐採ネットゼロを目標とし、森林伐採への対応を通じた環境・気候変動対策を喫緊かつ最重要課題の一つと位置付けています。
- 本意向表明書は、日本とブラジルとの間で、民間セクターや研究機関とも連携しつつ、劣化牧野の回復に向けて協力していくことを表明するものです。具体的には、日本企業やブラジル国内の日系農協、日・ブラジルの両国政府が連携し、ブラジル国内のモデルファームにおいて、日本企業の土壌改良材やバイオスティミュラント(植物のストレス耐性等を高める資材)を活用し、新たに森林伐採を行うことなく劣化牧野を回復させるための実証調査を行います。このほか、劣化牧野の回復に関連する情報及び経験の交換や農業及び畜産セクターの気候変動緩和に関する官民協力も行います。ここでは、農業生産性の向上と持続可能性の確保の両立が図られることが期待されます。
- また、石破茂内閣総理大臣とルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ・ブラジル連邦共和国大統領(H.E. Mr. Luiz Inácio Lula da Silva, President of the Federative Republic of Brazil)は、本26日に発表した、「日・ブラジル戦略的グローバル・パートナーシップ・アクション・プラン2025-2030」において、オファー型協力も活用しつつ環境・気候変動対策の取組を推進することを表明しており、本意向表明書はその取組の一環として発表されたものです。
(参考)ブラジル連邦共和国基礎データ
ブラジル連邦共和国は、面積約851万2千平方キロメートル(日本の約22.5倍)、人口約2.1億人(2023年、世界銀行)、1人当たり国民所得(GNI)9,280米ドル(2023年、世界銀行)。