報道発表

海洋環境中の放射性核種分析におけるIAEAの分析機関間比較結果の公表

令和7年3月25日

 3月24日、国際原子力機関(IAEA)は、海洋環境中の放射性核種分析における分析機関間比較(Interlaboratory Comparison(ILC))の結果に関する報告書を公表しました。

  1. 2022年(令和4年)から、IAEAは、ALPS処理水の海洋放出に係る日本の海域モニタリング結果を裏付けるためのILCを行っています。今般、2023年(令和5年)10月に採取した試料に対して、日本の分析機関、IAEAの研究所及びIAEAに選定されたカナダ、韓国、中国の分析機関が実施した分析の結果比較をIAEAが行い、その結果を公表しました。
  2. 本ILCは、IAEAとの間で2021年(令和3年)7月に署名されたALPS処理水の取扱いの安全面のレビューに関する付託事項(TOR)に基づき実施されているものです。
  3. 公表された報告書において、IAEAは、日本の分析機関の試料採取方法は代表的な試料を採取するために必要な、適切な方法論的基準に従っており、かつ、ILCで得られた正確な分析結果から、環境モニタリングの海洋サンプルに含まれる放射性核種の分析に参加した日本の分析機関が、高い熟練度を有している旨報告しています。
  4. なお、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に関連し、2013年度(平成25年度)にIAEAがとりまとめた報告書に記載されている海洋モニタリングに関する助言のフォローアップとしてのILCについては、2014年(平成26年)より実施されており、2023年(令和5年)採取分の報告書については、昨年12月にIAEAより結果が公表されています。
  5. 日本政府は、今後とも、IAEAへの必要な情報共有を継続するとともに、ALPS処理水の取扱いについて、国際社会の一層の理解醸成に努めます。

(参考2)ALPS処理水

 ALPS処理水とは、ALPS(多核種除去設備(Advanced Liquid Processing System))等により、トリチウム以外の放射性物質の濃度が確実に安全規制基準を満たすよう処理された水である。海洋放出に当たっては、海水により十分に希釈されるため、トリチウムを含む放射性物質の濃度は、安全規制基準をはるかに下回る。

(参考3)「分析機関間比較(Interlaboratory Comparison(ILC))」

 ILCとは、IAEA、IAEAが指定する第三国分析機関及び我が国の分析機関が、採取した同一試料を個別に分析し、IAEAが各分析機関の分析結果を比較するもの。これにより、分析機関の放射性核種の測定方法及び分析結果の適切さを確認している。


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