報道発表

第6回日中ハイレベル経済対話の開催(概要)

令和7年3月22日
日中ハイレベル経済対話出席者の集合写真
日中ハイレベル経済対話の様子

 3月22日午後3時15分頃から約2時間45分(同時通訳)、東京において、第6回日中ハイレベル経済対話が開催されたところ、概要以下のとおりです。今次対話は、2019年4月以来、約6年ぶりの開催であり、日本側は岩屋毅外務大臣、中国側は王毅(おう・き)中国共産党中央政治局委員・外交部長が議長を務めました。

  1. 冒頭、岩屋外務大臣から、日中経済関係の重要性に言及の上、経済分野での実務協力の推進には両国民の理解が不可欠であり、駐在員やその家族の安心・安全の確保が大前提となる、また、日本産農水産物の輸入規制の撤廃も極めて重要であり、今次対話を課題と懸案を減らし、協力と連携を深めていく機会としたい旨述べました。
  2. 双方は、それぞれの経済情勢やマクロ経済政策、財政政策等について議論し、日本側からは、経済の現状と当面の経済財政運営、日本経済・地方経済の成長に向けた取組等について説明しました。
  3. 双方は、「戦略的互恵関係」の下での経済分野での実務協力について議論し、グリーン経済の分野において、昨年11月に東京で日中省エネルギー・環境総合フォーラムが開催されたことを歓迎し、次回フォーラムを年内に北京で開催することで一致しました。また、双方は、第26回日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM)と併せて開催される次回の日中環境ハイレベル円卓対話に向けた協力を確認するとともに、両国の理解促進と関係強化に資する若手人材の交流や両国企業の技術協力に取り組むことで一致しました。さらに、双方は、2027年に横浜市で開催されるGREEN×EXPO 2027の成功に向けた協力を確認しました。
  4. 双方は、医療・介護・ヘルスケアの分野での協力を引き続き強化していくことの重要性を確認するとともに、第三国市場での民間経済協力を引き続き推進していくことで一致しました。このほか、双方は、大阪・関西万博を契機として人的交流やビジネス交流、観光交流等を後押ししていくことを改めて確認するとともに、技能五輪国際大会の2026年の中国(上海)開催と2028年の日本(愛知)開催に際して協力していくことで一致しました。
  5. 日本産水産物の輸入規制について、双方は、昨年9月に発表した「日中間の共有された認識」が着実に履行されていることを共に評価し、日本側から、日本産水産物の輸入を近く再開するよう求めました。双方は、IAEAの枠組みの下で追加的モニタリングを引き続き実施していくことを確認し、分析結果に異常がないことを前提に、日本産水産物の輸入再開に向けて、関連の協議を推進していくことで一致しました。また、日本産農産物の輸入再開・拡大について、日本側から、早期に解決できるものから優先的に解決していくことが重要であるとして、日本産牛肉の輸入再開・精米の輸入拡大を改めて求めました。さらに、双方は、日本厚生労働省と中国海関総署が「日中食品安全推進イニシアチブ」の枠組みを活用し、引き続き実務者間で対話を継続することを奨励しました。
  6. ビジネス環境の改善に関連し、日本側から、邦人拘束事案や「反スパイ法」の不透明性が日本人の中国渡航や中国でのビジネス活動を萎縮させているとして、拘束されている邦人の早期釈放、在留邦人の安全・安心の確保を改めて求めました。その上で、日本側から、公平性・予見性・透明性あるビジネス環境の整備を求めるとともに、中国による重要鉱物の輸出管理、政府調達における内資系企業・国産優遇、対日アンチダンピング調査、データ越境移転規制、過当競争による経済への影響等に関する日本側の懸念や問題意識を伝達し、中国側による是正・対応を求めました。双方は、日中輸出管理対話を通じた対話継続の重要性を確認するとともに、第2回日中ビジネス環境円滑化ワーキンググループを年内に日本で開催することで一致しました。また、日中知的財産権ワーキンググループの開催等を通じ、知的財産保護について連携を強化していくことの重要性を確認しました。このほか、中国側は中国日本商会との対話を開催し、日本側は在日中国企業協会との意思疎通の実施を検討することとしました。
  7. 双方は、地域・マルチでの協力についても議論を行い、「昆明・モントリオール生物多様性枠組」を共に推進することを確認したほか、気候変動に関する取組の重要性、プラスチック汚染に関する条約交渉の妥結に向けた努力、海洋ごみに関する両国の取組を共有していくことを確認しました。また、双方は、APECについて、2026年の中国議長と2031年の日本議長の相互支持を歓迎するとともに、WTO改革、G20における協力、ASEANとの協力の重要性についても確認しました。さらに、双方は、本年1月に東京で日中海運政策フォーラムが6年ぶりに開催されたことを歓迎し、海事分野での協力強化を確認しました。
  8. 双方は、双方の都合のつく適当な時期に、中国において、第7回日中ハイレベル経済対話を開催することで一致しました。

(参考1)主な出席者

日本側:岩屋毅 外務大臣(議長)、瀬戸隆一 内閣府副大臣、大串正樹 経済産業副大臣、古川康 国土交通副大臣、土田慎 財務大臣政務官、山本佐知子 農林水産大臣政務官、五十嵐清 環境大臣政務官、伊原和人 厚生労働事務次官

中国側:王毅 党中央政治局委員・外交部長(議長)、孫衛東 外交部副部長、趙辰昕 国家発展改革委員会副主任、廖岷 財政部副部長、于会文 生態環境部副部長、鄢東 商務部副部長、趙増連 海関総署副署長、謝少鋒 工業情報化部総工程師

(参考2)日中ハイレベル経済対話(過去の開催実績)

  • 第1回 2007年12月 1日 於:北京(議長:高村外務大臣、曾培炎副総理)
  • 第2回 2009年 6月 7日 於:東京(議長:中曽根外務大臣、王岐山副総理)
  • 第3回 2010年 8月28日 於:北京(議長:岡田外務大臣、王岐山副総理)
  • 第4回 2018年 4月16日 於:東京(議長:河野外務大臣、王毅国務委員兼外交部長)
  • 第5回 2019年 4月14日 於:北京(議長:河野外務大臣、王毅国務委員兼外交部長)

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