報道発表
日・トルクメニスタン租税条約の署名
令和6年12月19日
12月16日(日本時間同日)、トルクメニスタンの首都アシガバットにおいて、佐々木浩駐トルクメニスタン日本国特命全権大使と、セルダル・ジョラエフ・トルクメニスタン財務経済大臣(H.E. Mr. Serdar Joraev, Minister of Finance and Economy of Turkmenistan)との間で、「所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とトルクメニスタンとの間の条約」(日・トルクメニスタン租税条約)の署名が行われました。
- この条約は、1986年に発効した現行の租税条約(所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約)を全面的に改正するものであり、具体的には、事業利得及び投資所得に対する課税の改正のほか、この条約の濫用防止措置、相互協議手続における仲裁手続及び租税債権の徴収共助の導入並びに租税に関する情報交換の拡充を行うものです。これらにより、二重課税を除去し、国際的な脱税及び租税回避行為を防止しつつ、両国間の投資・経済交流を一層促進することが期待されます。
- この条約の主な内容は、以下のとおりです。
- 事業利得に対する課税
事業利得については、企業が進出先国内に支店等の恒久的施設を設けて事業活動を行っている場合に、その恒久的施設に帰属する利得に対してのみ、進出先国において課税することができます。また、恒久的施設に帰属する利得は、本支店間の内部取引を網羅的に認識し、独立企業原則を厳格に適用して計算されます。 - 投資所得に対する課税
投資所得(配当、利子及び使用料)については、以下のとおり、源泉地国(所得が生ずる国)における課税の上限(限度税率)が設けられ、又は課税が免除されます。●現行条約
配当:15%
利子:免税(政府受取等)
10%(その他)
使用料:免税(著作権)
10%(その他)●新条約
配当:免税(持分保有割合25%以上・保有期間6か月以上(注))
10%(その他)
利子:免税(政府受取、金融機関受取、年金基金受取等)
10%(その他)
使用料:10%(注)持分は、日本法人支払の場合は議決権、トルクメニスタン法人支払の場合は資本を指します。
- 相互協議手続及び仲裁制度
この条約の規定に適合しない課税については、両国の税務当局間の協議による合意に基づく解決に関する規定が設けられています。また、両国の税務当局間の協議により2年以内に事案が解決されない場合には、仲裁に付託されます。 - 情報交換及び徴収共助
国際的な脱税及び租税回避に効果的に対処するため、両国間における租税に関する情報交換の対象となる租税及び事案が拡大されるとともに、租税債権の徴収に関する相互支援が導入されます。 - 条約の特典の濫用防止
条約の特典の濫用を防止するため、親子会社間の配当に対する免税は適格者等の一定の要件を満たす居住者に限って認められます。また、条約の特典を受けることが取引等の主要な目的の一つであったと認められる場合及び第三国内に存在する恒久的施設に帰属する所得であって特定の条件を満たさないものについては、条約の特典は認められません。
- 事業利得に対する課税
- この条約は、両国それぞれの国内手続(我が国においては、国会の承認を得ることが必要)に従って承認された後、その承認を通知する外交上の公文の交換の日の後30日目の日に効力を生じ、次のものについて適用されることとなります。
- 課税年度に基づいて課される租税に関しては、この条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に開始する各課税年度の租税
- 課税年度に基づかないで課される租税に関しては、この条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に課される租税
- 情報交換及び徴収共助に関する規定は、対象となる租税が課される日又はその課税年度にかかわらず、この条約が効力を生ずる日から適用されます。
(注)この条約は、トルクメニスタン以外の一部の旧ソ連諸国と我が国との間で適用されている現行の租税条約に影響するものではありません。