報道発表
第8回日・カリコム外相会合、ワーキングランチ、署名式及び対外記者発表
12月14日、午前9時30分から、岩屋毅外務大臣は、訪日中のカリブ地域14か国から成るカリブ共同体(カリコム)諸国の外相等と第8回日・カリコム外相会合(約3時間)及びワーキング・ランチ(約1時間30分)を行い、共同議長を務めたところ、概要は以下のとおりです。
参加各国は、会合後、成果文書として、日・カリコム共同閣僚声明を採択しました。
1 日・カリコム外相会合及びワーキング・ランチ
(1)日・カリコム関係
ア 総論
岩屋大臣は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序に対する挑戦、気候変動を始めとする地球規模課題の深刻化といった世界的な課題に対し、価値と原則を共有する日本及びカリコム諸国が「対カリコム政策三本柱」の下で協力していく決意を述べました。
イ 小島嶼開発途上国特有の脆弱性克服を含む持続可能な開発に向けた協力
岩屋大臣は、日本は2014年以降、カリコム諸国の脆弱性克服に向けて、防災、海洋、漁業・水産を始めとする様々な分野における支援を実施しており、今後も「中南米外交イニシアティブ」の下、海洋、防災、気候変動や人間の安全保障等の分野で新たな連携を積み重ねていきたい旨述べました。
これに対し、カリコム側から、日・カリコム関係が強化されていること、日本からの多岐にわたる支援への謝意が表明されるとともに、今回10年ぶりに東京において外相会合が実施されることは双方の連携強化に対する高い関心の表れである旨述べました。
ウ 交流と友好の絆の拡大と深化
日・カリブ交流年を通じた交流の視点を互いに評価し、政務レベルの往来、議員間交流の促進、「JETプログラム」や「Juntos!!」等のプログラムを通じた、あらゆるレベルの人物交流を通じた日・カリコム間の相互理解、及び友好関係の一層の強化を期待する旨述べました。
(2) 国際場裡における協力
ア 総論
双方は、力や威圧による一方的な現状変更の試みは、我々の平和と繁栄の共通の基礎である秩序への挑戦であって、どの国も無関係ではいられないこと、だからこそ、日・カリコムがグローバル・パートナーシップの下で国際場裡で連携して声を上げていく必要がある点で一致しました。
イ 核軍縮・核不拡散
岩屋大臣は、国連総会本会議に提出した核兵器廃絶決議案に謝意を表明しました。また、双方は、「核兵器のない世界」の実現という共通の目標に向けて、引き続き協力することで一致しました。
ウ 国際機関
岩屋大臣から、来年の国連創設80周年に、安保理改革実現のため、引き続きカリコムと緊密に連携していきたい旨述べ、カリコム側からも安保理改革実現を重視しているとの発言があり、双方の連携を強化していくことで一致しました。
岩屋大臣は、中南米外交イニシアティブを構成する重要課題の一つである「女性・安全保障・平和」、いわゆるWPSを含む、ジェンダー分野における日・カリコム連携のあり方を模索していきたい旨述べました。
エ 気候変動
岩屋大臣から、気候変動を含む環境問題や防災、海洋等の分野における小島嶼国特有の脆弱性を克服し、持続可能な開発を実現するため、引き続き協力していきたい旨述べました。
カリコム側からは、気候変動に伴う海面上昇や災害の頻発による深刻な影響につき具体的な説明が行われ、日本のこれらの問題に対する深い理解及びこれまでの協力に謝意が表明され、今後も引き続き緊密に協力していくことが確認されました。
オ 海洋
岩屋大臣から、海洋生物資源の持続的利用は、日本とカリコム諸国にとって共通の利益であり、今後とも科学的根拠に基づく資源管理を通じて、海洋生物資源の持続的利用の促進に向け協力していきたい旨述べました。
カリコム側からは、持続可能な漁業、海洋資源全般の持続可能な利用に関し、協力をしていきたい旨の発言がありました。
カ 地域情勢
双方は、東アジア、中南米情勢等に加え、ウクライナについても意見交換を行いました。北朝鮮をめぐる諸課題については、カリコム側からも懸念を共有する旨発言があり、拉致問題の即時解決への支持が表明されました。
2 署名式及び対外記者発表
ワーキングランチの後、カリコムに対する国際連合工業開発機関(UNIDO)を通じた無償資金協力に関する書簡の署名・交換が行われました。また、署名式後、岩屋大臣は、共同議長を務めたビンス・ヘンダーソン・ドミニカ国外務大臣と共に対外記者発表を実施しました。
- アンティグア・バーブーダ:ダベン・ジョセフ首相府開発担当大使
- ガイアナ:ヒュー・ヒルトン・トッド外務・国際協力大臣
- グレナダ:ジョセフ・アンドール外務・貿易・輸出開発大臣
- ジャマイカ:カミナ・ジョンソン=スミス外務・貿易大臣
- スリナム:アルバート・ラムディン外務・国際商業・国際協力大臣
- セントクリストファー・ネービス:ケイ・バス外務次官
- セントビンセント及びグレナディーン諸島:フレデリック・スティーブンソン外務・外国貿易・消費者問題大臣
- セントルシア:アルバ・ロマヌス・バプティスト外務・国際貿易・民間航空・海外移住者大臣
- ドミニカ国:ビンス・ヘンダーソン外務・国際ビジネス・貿易・エネルギー大臣
- トリニダード・トバゴ:エイムリー・ブラウン外務・カリコム担当大臣
- ハイチ:ジャン-ヴィクトール・アーヴェル・ジャン-バプティスト外務・宗務大臣
- バハマ:フレデリック・ミッチェル外務大臣
- バルバドス:ケリー・シモンズ外務・貿易大臣/生産部門調整上級大臣
- ベリーズ:フランシス・フォンセカ外務・貿易・教育・文化・科学技術大臣
- カリコム事務局:エリザベス・ソロモン外務・地域関係担当事務局次長
日・カリコム事務レベル協議開始後満30年、日・ジャマイカ及び日・トリニダード・トバゴ国交樹立60周年を記念して、本年を「日・カリブ交流年」とし、年間を通じて、日本とカリコムの交流深化を目的とした記念事業を日本及びカリコム諸国で実施するもの。