報道発表

G20外相会合(概要)

令和6年9月26日

 9月25日午後10時から26日午前6時まで(現地時間25日午前9時から午後5時まで)、米国・ニューヨークの国連本部にてG20外相会合が開催されたところ、概要は以下のとおりです(G20メンバー及び招待国の外相等、国際機関の代表が出席。日本は赤堀毅外務審議官が代理出席。)。

  1. 今次会合は、グローバル・ガバナンス改革を議題として、G20メンバー、招待国、関連する国際機関に加え、全ての国連加盟国に開かれた形で開催されました。オープニング・セッションにおいてアントニオ・グテーレス国連事務総長(H.E.Mr. António Guterres, Secretary-General of the United Nations)、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ・ブラジル連邦共和国大統領(H.E. Mr. Luiz Inacio Lula da Silva, President of the Federative Republic of Brazil)、マタメラ・シリル・ラマポーザ・南アフリカ共和国大統領(H.E. Mr. Matamela Cyril Ramaphosa, President of the Republic of South Africa)等が発言した後、G20メンバー、招待国、関連する国際機関の代表等がそれぞれ発言を行い、国連改革、国際金融アーキテクチャー改革及びWTO改革等を中心に議論が行われました。
  2. 赤堀外務審議官からは、国連改革、多国間開発金融機関(MDBs)改革、開発金融及びWTO改革、AIに関する日本の取組を含め、概要以下を述べました。
    1. 冒頭
       国際社会は、様々な地球規模の課題に直面している。ロシアは、G20の殆どの首脳による非難にもかかわらず、今なおウクライナ侵略を継続しており、ガザ情勢も深刻な状況である。全ての地球規模課題に効果的に対処するためには、「法の支配」の強化と「人間の尊厳」を守ることが必要であり、また、国際社会の構造的な変化を踏まえたグローバル・ガバナンス改革が急務である。
    2. 国連改革
       多国間主義の中核にある国連の改革は、最も喫緊の課題の一つである。来年の国連創設80年を見据え、変革する時が来ている。国際社会は、ロシアによるウクライナ侵略の継続、北朝鮮による核・ミサイル開発、中東情勢の緊迫化、世界各地における紛争やテロの頻発等、対処すべき多くの課題に直面している。国際社会は、国連、特に安全保障理事会が信頼性と透明性を有し、責任ある役割を実効的に果たすことを切望している。未来サミットでの、安保理を緊急に改革する必要性があるとの認識を、行動に落とし込まねばならない。統合された改革モデル作成(注:様々な改革モデルを基に作成する。)や文言ベース交渉を今こそ開始すべき時である。途上国含め大多数の国が、常任・非常任理事国双方の議席拡大を求めていることを強調したい。G20としても、国連及び安保理の改革に向けた機運を支持し、行動を起こしていくことが重要である。
    3. 多国間開発金融機関(MDBs)改革、開発金融
       日本は、各機関の特性や理事会等における議論を反映したMDBs改革の更なる進展に貢献していく。途上国への融資余力の拡大には、既存資本の活用や民間資金の動員が不可欠である。日本は、アジア開発基金の増資交渉を主導し、最大のドナーとして約1,620億円の拠出を表明した。国際開発協会の増資の成功を期待している。同時に、途上国が直面する債務問題への対処は喫緊の課題であり、「債務支払猶予イニシアティブを超えた共通枠組」等による迅速な債務再編が不可欠である。これに関して、パリクラブと非パリクラブの国々の協調による初の中所得国向け事例であり、日本が共同議長として主導したスリランカ債務再編の覚書締結を歓迎する。国際的なルールやスタンダードを遵守した透明で公正な開発金融の重要性につき、G20メンバーを含む全ての債権国及び債務国が認識を共有する必要がある。
    4. WTO改革
       WTO改革による多角的貿易体制の強化も引き続き重要な課題であり、G20で連携し、政治的モメンタムを与えていくことが重要である。特に、本年中に、完全な、かつ、よく機能する紛争解決制度の実現を目指し、議論を加速することが必要である。また、WTOが、時代に適応した存在意義のある機関であり続けるために、日本を含む有志国による新たなルール・メイキングの取組である共同声明イニシアティブ(JSI)は重要な取組である。JSIのWTO協定への組込みに向けて、WTOメンバーの理解と協力を求めたい。さらに、貿易と開発に関しては、日本として、後発開発途上国(LDC)が、LDC卒業後も円滑に持続可能な発展を遂げられるよう、昨年のWTO決定を踏まえ、更なる特恵的な措置について検討を進めていく。
    5. AI
       昨年の日本のG7議長下において、生成AIの国際ガバナンスに関する広島AIプロセスを立ち上げ、国際指針や行動規範を策定し、その実践を進めるなど、AIのリスク低減に取り組んでいる。また、デジタル格差を解消するべく、日本は途上国のデジタル分野の人材育成や制度構築を支援してきている。安全、安心で、信頼できるAIの実現に向け、G20での議論にも引き続き貢献していきたい。
    6. 結語
       国際社会が複合的な危機に直面する中、G20が課題に対応する姿勢を示すことが重要であり、G20リオ・サミットに向けて、引き続き積極的に議論に参加したい。
  3. また、今回の会合において成果文書である「グローバル・ガバナンス改革への行動要請」(英文・和文仮訳)が発出されました。
(参考1)第2回G20外相会合の参加国・機関
  1. G20メンバー
    日本、ブラジル(議長国)、アルゼンチン、豪州、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、メキシコ、韓国、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、英国、米国、AU(アフリカ連合)、EU(欧州連合)
  2. 招待国
    アンゴラ、ボリビア、エジプト、ナイジェリア、ノルウェー、パラグアイ、ポルトガル、シンガポール、スペイン、アラブ首長国連邦、ウルグアイ
  3. 国際機関
    国際連合、世界貿易機関(WTO)

 その他、国連加盟国、G20議長国が招待した政府間組織の代表者および国連専門機関の代表者が多数参加。

(参考2)別添

 グローバル・ガバナンス改革への行動要請(英文(PDF)別ウィンドウで開く和文仮訳(PDF)別ウィンドウで開く


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