報道発表
高村外務大臣政務官のリトアニア訪問(結果)
6月6日及び7日(現地時間同日)、高村正大外務大臣政務官は、リトアニア共和国のビリニュスを訪問し、「ウクライナ文化セクター復興のための国際会議」に出席するとともに、各国政府・国際機関の要人と会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 会議出席者等
本会議では、デニス・シュミハリ・ウクライナ首相(H.E. Mr. Denys Shmyhal, Prime Minister of Ukraine)がビデオメッセージを発出するとともに、イングリダ・シモニーテ・リトアニア首相(H.E. Ms. Ingrida ŠIMONYTĖ, Prime Minister of the Republic of Lithuania)、エルネスト・オットーネ国際連合教育科学文化機関(UNESCO)文化担当事務局長補(H.E.Mr. Ernesto Ottone, Assistant Director General for Culture, UNESCO)のほか、G7、EU各国を含む各国政府に加え、国際機関やNGO等の代表等が出席しました。
2 会議概要


本会議は、ロシアによるウクライナ侵略がウクライナの文化セクターへ与える影響に関する認識を高めることを目的として開催され、総括として「ウクライナ文化セクター復興に関するビリニュス行動要請(Vilnius Call for Action on the Recovery of the Culture Sector of Ukraine)」と題する成果文書がとりまとめられました。
本会議において、高村政務官は、ウクライナの人々が2年以上にわたりロシアによる侵略から故郷を守る勇気を示してきたことに対して、心から敬意を表するとともに、ロシアによる侵略によって多くの遺跡や文化施設が破壊され、ウクライナの独自の文化が脅威にさらされる中、日本はユネスコを通じて文化セクターの保護・復興のための支援等を実施してきていることを説明しました。
その上で、ウクライナの復興のために国際社会が連帯する必要性を強調し、一日も早く公正かつ永続的な平和を実現することができるよう、日本はこれからもウクライナに寄り添い続ける旨表明しました。
3 各国政府・国際機関要人との会談
(1)エギディユス・メイルーナス・リトアニア共和国外務副大臣


6月6日、高村政務官は、エギディユス・メイルーナス・リトアニア共和国外務副大臣(H.E. Mr. Egidijus Meilunas, Vice-Minister of Foreign Affairs of the Republic of Lithuania)と会談を行いました。
高村政務官から、杉原千畝氏の「命のビザ」にまつわる温かいきずなを含め、様々な協力を積み重ねてきたことを述べ、2022年(令和4年)に両国の関係を戦略的パートナーシップに格上げして以降、両国間で幅広い分野において協力が進展しており、本年リトアニアが主催した三海域イニシアティブ首脳会合等のマルチの枠組みを含めて、リトアニアとの協力を強化したい旨述べました。また、リトアニアが今般の会議を主催したことへの敬意を伝達するとともに、日本が文化セクターにおいて実施している支援について説明し、ウクライナの人々が尊厳ある暮らしを取り戻すことができるよう、国際社会が結束してウクライナを支援していくことが重要である旨強調しました。
メイルーナス外務副大臣は、日本とリトアニアの戦略的パートナーシップへの格上げや両国間の人的交流、杉原千畝氏をきっかけとする特別な関係に言及し、良好な二国間関係を構築できていることを歓迎しました。また、リトアニアの経済外交において、貿易、投資、観光、イノベーション、農産品の5分野を中心に据えており、その全てにおいて日本との関係を重視していることに触れ、経済面を含む両国間関係の更なる強化への期待を述べました。
両者は、日本とリトアニアの関係を一層強化すべく、引き続き緊密に連携していくことを確認するとともに、ウクライナの文化セクターに対する支援を継続していくことが重要であるとの認識で一致しました。
(2)エルネスト・オットーネ・ユネスコ文化担当事務局長補


6月6日、高村政務官は、エルネスト・オットーネ・ユネスコ文化担当事務局長補と会談を行いました。
高村政務官から、国際社会が分断を深める今日、ユネスコの果たす役割の重要性はかつてなく高まっており、日本としてユネスコとの関係強化に強くコミットしている旨述べ、財政的貢献等を通じた文化遺産保護やウクライナ支援への決意を述べました。また、ウクライナに対して、日本はユネスコを通じて文化、教育、ジャーナリストの安全の3分野の支援を実施していることを説明し、このような支援は文化の保護が「人間の尊厳」を守ることにつながるとの考えに基づくものであり、日本は、ウクライナの人々が尊厳ある暮らしを取り戻すことを重視し、支援を実施していること旨述べました。
これに対し、オットーネ事務局長補は、ユネスコにおける財政面にとどまらない日本の貢献に謝意を表し、文化の文脈における新たな世界的課題に対応していくためにも、持続可能な文化振興のあり方について積極的な議論を進めていきたく、日本とも引き続き連携したい旨述べました。加えて、ユネスコにとって、ウクライナ支援は、戦争が継続する中で支援を実施する初めての事例であり、日本の支援は非常に重要であるとして、改めて感謝の意が表明されました。
両者は、日・ユネスコ関係の強化のため、協力していくことの重要性を確認しました。
(3)ビクトル・ストヤノフ・ブルガリア文化副大臣


6月7日、高村政務官は、ビクトル・ストヤノフ・ブルガリア文化副大臣(Mr. Victor Stoyanov, Deputy Minister of Culture, Bulgaria)と会談を行いました。
高村政務官から、日・ブルガリア交流開始115周年、外交関係樹立85周年、外交関係再開65周年の「3つの周年」を迎える両国間において、協力関係をさらに強化していきたい旨伝達するとともに、ブルガリアがNATO及びEUの加盟国として歩みを進めてきたことに加えて、本年、新たに空路・海路についてシェンゲン加盟を果たしたことに祝意を表しました。また、日本が文化セクターにおいて実施している支援について説明し、ウクライナの人々が尊厳ある暮らしを取り戻すことができるよう、国際社会が結束してウクライナを支援していくことが重要である旨強調しました。
ストヤノフ副大臣は、日・ブルガリア間では、伝統的に文化面でも緊密な交流が続いており、自らも作曲家として両国間の文化交流に貢献してきた旨述べ、それに加えて、両国ともに大きなポテンシャルがある情報技術分野における交流の更なる深化に期待する旨述べました。また、ブルガリアは、ウクライナに対し、戦時下における文化遺産保護について専門家の知見の提供を含む実践的な支援を行っており、文化遺産の保護は未来に対する責任という観点からも重要である旨強調しました。
両者は、日本とブルガリア共和国の関係を一層強化すべく、引き続き緊密に連携していくことを確認するとともに、ウクライナの文化セクターに対する支援を継続していくことが重要であるとの認識で一致しました。
(4)ロスティスラウ・カランジェエウ・ウクライナ文化・情報政策大臣代行


6月7日、高村政務官は、ロスティスラウ・カランジェエウ・ウクライナ文化・情報政策大臣代行(Dr. Rostyslav Karandieiev, Acting Minister of Culture and Information Policy of Ukraine)と会談を行いました。
高村政務官から、日本はG7をはじめとする同志国と連携し、一日も早くウクライナの公正かつ永続的な平和を実現するためウクライナ支援を強力に推進していく、また、ウクライナの復興についても官民一体となって貢献したい旨表明しました。さらに、2023年(令和5年)以来、日本がユネスコ経由で支援を実施している文化遺産の戦争被害の監視、評価や、緊急対応、修復保全といった文化セクターでの支援について触れ、ウクライナの人々が尊厳ある暮らしを取り戻すことができるよう、国際社会が結束してウクライナを支援していくことが重要である旨強調しました。
カランジェエウ大臣代行からは、文化セクター再建のためのウクライナにおけるニーズについての説明があったほか、自治体による姉妹都市への支援、インフラ再建に向けた支援など、日本の多面的なウクライナ支援に言及した上で、深い謝意が表明されました。
両者は、日本とウクライナの関係を一層強化すべく、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。