報道発表

プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の策定に向けた第3回政府間交渉委員会の結果概要

令和5年11月21日

 11月13日から11月19日まで、ケニアのナイロビにおいて、プラスチック汚染に関する法的拘束力のある、国際文書(条約)の策定に向けた第3回政府間交渉委員会(INC3)が開催されたところ、会合の概要は以下のとおりです。
 この会合には、約160か国の国連加盟国、関係国際機関、NGO等約2,000名が参加し、日本からは、外務省、経済産業省、水産庁及び環境省から構成される政府代表団が出席しました。

  1. 今次会合では、9月に公表された条約の素案(ゼロドラフト)を基に、目的及び中心的義務、条約義務の実施手段、定義・原則等について3つの作業グループを設置し、各グループに2名ずつの共同ファシリテーターが任命され、それぞれ議論が行われました。可能な限り各国提案を素案に統合させることに主眼が置かれ、議論の結果、各国の提案が全て盛り込まれた条文案の改定版が作成され、第4回政府間交渉委員会(INC4)での条文案交渉のベースとすることとなりました。
  2. 主な論点は、条約の目的及び年限目標、一次プラスチックポリマーの生産制限、懸念のある化学物質・ポリマー・問題のあるプラスチック製品の規制、国別行動計画の内容、新たな基金設置の有無を含む支援資金に関する議論等でした。
  3. 日本からは、
    1. 条約の目的に、2040年までの追加的汚染をゼロにする野心を盛り込むべきこと、
    2. 条約に基づく各国の包括的な義務として、社会全体でプラスチック資源循環メカニズムを構築し、生産から廃棄物管理に至るまでのライフサイクル全体で対応に取り組む規定が必要であること、
    3. 一次プラスチックの生産制限については、世界一律の規制ではなく、各国の事情を踏まえて、他の対策が効果を生じない場合に各国で検討すべきであり、再利用やリサイクル、廃棄物管理について、各国は、汚染問題の解決に向けて取組を向上させていくべきこと、
    4. 科学的根拠に基づく対応が重要であり、既存の他条約との重複に留意すべきこと、
    5. 実施に関する支援は、支援対象を効果的な措置に重点化し、真に必要な国に対して提供されるべきこと
    等を主張しつつ、条文案の修正作業に貢献しました。
  4. 昨年の第1回政府間交渉委員会(INC1)で提案されたとおり、ペルーのメザ=クアドラ氏がINC議長を退任し、新たにエクアドルのバジャス氏(副議長・南米代表理事)が同議長に選任されました。また、今後のINC開催日程・場所について以下の通り確認されました。
        INC4 2024年4月21日~30日 カナダ・オタワ
        INC5 2024年11月25日~12月1日 大韓民国・釜山
  5. なお、INC4までの会期間作業についても議論が行われましたが、各国の優先事項や意見の隔たりが大きく、特定作業の決定には至りませんでした。
  6. 我が国は、赤堀毅外務省地球規模課題審議官が代表団長を務めました。会合期間中、小野洋環境省参与が、アジア太平洋地域の代表理事(副議長)として定期的に地域会合を主催しました。
(参考1)アジア太平洋地域の代表理事(副議長)

 各地域(アジア太平洋・アフリカ・中南米・西欧・東欧、小島嶼国)から10名の副議長が選出され、議長と共に委員会の運営等の役割を担当。

(参考2)プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書策定に向けた政府間交渉委員会(INC)の概要

 2022年3月の第5回国連環境総会再開セッションにおいて、「プラスチック汚染を終わらせる:法的拘束力のある国際約束に向けて」が採択され、INCを設置することを決定しました。
 INCは、2022年11月から2024年末までに5回開催され、国際文書(条約)の策定に係る作業の完了を目指すこととしています。2022年11月にウルグアイで開催された第1回交渉、2023年5月にフランスで開催された第2回交渉に続き、今回第3回交渉が行われました。


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