報道発表

第16回日中高級事務レベル海洋協議(結果)

令和5年10月13日

 10月13日、第16回日中高級事務レベル海洋協議が中国江蘇省揚州市において開催されたところ、概要は以下のとおりです。

  1. 同協議には、日本側から、外務省のほか、水産庁、資源エネルギー庁、海上保安庁、環境省及び防衛省が参加し、中国側から、外交部のほか、中央外事工作委員会弁公室、国防部、自然資源部、生態環境部、交通運輸部、農業農村部、国家エネルギー局及び中国海警局が参加しました。
  2. 双方は、全体会議のほか、(1)海上法執行及び海上安全、(2)海上防衛、(3)海洋経済の3つのワーキンググループに分かれて会議を行い、東シナ海情勢等について個別の事案に関する懸念事項も含む様々な課題や、海洋分野における協力の在り方等について率直に議論しました。
  3. 日本側から、我が国の立場に基づき、中国海警船による尖閣諸島周辺の我が国領海への侵入を直ちに止めるよう強く求めました。加えて、東シナ海の地理的中間線の東側の我が国排他的経済水域で確認されたブイについて抗議するとともに、即時撤去を改めて強く求めました。また、これらを含む東シナ海情勢、南シナ海情勢、我が国周辺海域における中国の活発化する軍事活動に対し、深刻な懸念を表明するとともに、台湾海峡の平和と安定の重要性についても改めて提起しました。
  4. 日本側から、東シナ海資源開発問題に関して、昨年新たに2基の構造物が設置されたこと等に対して我が国の立場と強い懸念を改めて申し入れました。双方は、東シナ海の資源開発に関する「2008年合意」を推進・実施すべく、引き続き緊密に意思疎通を続けていくことを確認しました。
  5. 日本側から、日本海の大和堆周辺水域における中国漁船による違法操業について、中国側の対応を改めて強く要請するとともに、意思疎通を強化していくことを確認しました。
  6. 日本側から、「瀬取り」への対応を含め、対北朝鮮制裁に係る国連安保理決議の完全な履行の重要性を提起しました。
  7. 東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の海洋放出について日本側から我が国の立場を改めて明確に述べるとともに、科学的根拠に基づかない中国側の措置は全く受け入れられないとして、中国側による日本産水産物の全面的な一時輸入停止措置を含む日本産食品の輸入規制措置の早期撤廃を改めて強く求めました。
  8. 双方は、本年5月に運用を開始した日中防衛当局間のホットラインや、ハイレベルを含む防衛当局間における交流と対話を通じた意思疎通を引き続き推進していくことで一致しました。
  9. 双方は、日中海上保安機関・教育機関間の交流を進めることを確認するとともに、二国間や多国間会合の枠組み等を利用して意思疎通を継続し、相互理解・信頼を引き続き醸成していくことで一致しました。
  10. 双方は、密輸、密航、薬物取締り等の犯罪取締りの重要性を共有し、引き続き連携協力していくことで一致しました。
  11. 双方は、2019年2月に発効した日中海上捜索救助(SAR)協定を踏まえた海上捜索救助協力強化に関する情報交換等を継続し、地方窓口間の通信訓練等の実施を含む円滑かつ効率的な海上捜索救助に引き続き協力して取り組むことで一致しました。
  12. 双方は、プラスチックを含む海洋ごみ問題について、日中の様々なレベルでの協力を引き続き推進することで一致しました。
  13. 双方は、今後とも海洋分野について意思疎通を継続・強化していくことで一致するとともに、第17回日中高級事務レベル海洋協議の開催に向けて、具体的な調整を始めることで一致しました。
(参考1)日中高級事務レベル海洋協議
  • 日本側団長:鯰博行(なまず・ひろゆき)外務省アジア大洋州局長
  • 中国側団長:洪亮(こう・りょう)外交部辺境海洋事務司長
(参考2)日中高級事務レベル海洋協議(近年の開催実績)

  第12回 2021年2月3日(オンライン)
  第13回 2021年12月20日(オンライン)
  第14回 2022年11月22日(オンライン)
  第15回 2023年 4月10日 於:日本(東京都)
  今回  2023年10月13日 於:中国(江蘇省揚州市)


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