報道発表
カンボジア王国に対する円借款及び無償資金協力に関する交換公文の署名(国道改修による地域の連結性向上への貢献と若手行政官等を対象とした日本への留学支援)
令和5年5月24日
5月24日(現地時間同日)、カンボジア王国の首都プノンペンにおいて、植野篤志駐カンボジア日本国特命全権大使と、プラック・ソコン・カンボジア王国副首相兼外務国際協力大臣(H.E. Mr. PRAK Sokhonn, Deputy Prime Minister and Minister of Foreign Affairs and International Cooperation of the Kingdom of Cambodia)との間で、首都プノンペンとタイ国境を結ぶ国道五号線の改修等を実施するための72億500万円を限度とする円借款(注1)、並びに若手行政官等を対象とした日本への留学支援のための3億6,600万円を限度とする無償資金協力に関する交換公文の署名が行われました。
(注1)円借款:開発途上国に対してインフラ等の建設資金として必要な資金を緩やかな条件(低い金利や長い返済期間)で貸し付ける協力。開発途上国にとっては、日本への返済を前提とした資金なので、効果的な活用や自立的発展に繋がることが期待される。
- 国道五号線改修計画(プレッククダム-スレアマアム間)(第四期)(供与限度額:72億500万円)
- 対象案件の概要
カンボジアでは、経済発展に伴う国内・国際物流の増加に対応するため、輸送能力の増強及び輸送効率の改善が喫緊の課題となっています。本案件は、首都プノンペンとタイ国境を結ぶカンボジアの基幹道路である国道五号線のプレッククダム-スレアマアム間において、既存道路の改修及び拡幅並びにバイパスの整備等を行うことにより、対象地域における輸送能力の増強及び輸送効率の改善を図り、もってカンボジアの経済発展の促進に寄与するものです。なお、本案件は2014年に第一期、その後2016年に第二期、2020年に第三期の署名を行っておりますが、今般急激な為替変動等により総事業費が増加したことを受け、追加的な円借款で対応するものです。
南部経済回廊(注2)の一部である国道五号線を改修するこの協力により地域の連結性強化を向上させ、自由で開かれたインド太平洋の実現に資するほか、両国関係の更なる関係強化にも寄与することが期待されます。
(注2)タイ~カンボジア~ベトナムを結ぶ、道路や橋梁等の運輸インフラのことであり、この経済回廊の整備により国境を越えて人とモノが活発に移動できるようになり、メコン地域全体の経済成長を促すことが期待される。 - 供与条件 金 利:TORF+0.4%(下限金利は0.1%。またコンサルタント部分は年0.01%。) 償還期間:30年(10年の据置期間を含む。) 調達条件:アンタイド
- 対象案件の概要
- 人材育成奨学計画(供与限度額:3億6,600万円)
カンボジアでは、1970年代から約20年にわたる内戦により多くの有能な人材が失われ、高等教育機関の整備も不十分であるため、良質な人材の育成が喫緊の課題となっています。我が国は、カンボジアに対し、経済社会基盤の更なる強化を促す取組を行っており、今回の協力は、その一環として、カンボジアの若手行政官等が日本の大学院において学位(修士・博士)を取得することを支援するものです。
この協力により、最大26名のカンボジアの若手行政官が我が国の大学に留学でき、将来のカンボジアの開発課題の解決に貢献し、我が国とカンボジアの友好関係の更なる強化にも寄与することが期待されます。
(参考1)TORF(Tokyo Term Risk Free Rate)
東京ターム物リスク・フリー・レートと呼ばれ、円借款の変動金利を表す際に用いられる金利指標である。
(参考2)カンボジア王国基礎データ
カンボジア王国は、面積約18万平方キロメートル(日本の約0.48倍)、人口約1,695万人(2021年、世界銀行)、人口1人当たりの国民総所得(GNI)は1,550米ドル(2021年、世界銀行)。