報道発表
パラオ共和国に対する無償資金協力「送電網整備計画」に関する書簡の交換
9月8日、東京において、スランゲル・S・ウィップス・Jr・パラオ共和国大統領(H.E. Mr. Surangel S. WHIPPS, Jr., President of the Republic of Palau)の立ち会いの下、我が方、柄澤彰駐パラオ共和国日本国特命全権大使と、先方、グスタフ・アイタロー・パラオ共和国国務大臣(Hon. Gustav AITARO, Minister of State of the Republic of Palau)との間で、21.40億円を限度とする無償資金協力「送電網整備計画」に関する書簡の交換が行われました。
- パラオ共和国は、産業の集積地であるコロール島及び首都マルキョクの所在するバベルダオブ島に全人口約1.8万人の約96%が居住し、電力需要はコロール島及びバベルダオブ島南部で両島全体の需要の約85%を占めます。マラカル島のマラカル発電所及びバベルダオブ島のアイメリーク発電所の両ディーゼル発電所から送電線を介して電力が供給されていますが、当該送電線は1回線のため、事故が発生すると、全区間で停電が継続するという脆弱な状況です。こうした中、パラオ政府は2015年に「国家長期エネルギー政策」を改訂し、2017年に「パラオ・エネルギー・ロードマップ」を策定し、同政策及びロードマップにおいて国内総発電量に占める再生可能エネルギーの比率を2025年までに45%まで上げることを目標とし、同目標をパリ協定下の「国が決定する貢献(NDC)」として表明しています。
- 本計画は、コロール島、バベルダオブ島及びマラカル島において送電系統を整備することにより、両島における電力供給の安定性の向上及び再生可能エネルギー導入の促進を図るものです。これにより、パラオの住民生活環境の改善及び温室効果ガス排出削減を通じた、気候変動・環境問題・防災への対応に寄与することが期待されます。
- 我が国は、昨年7月2日にテレビ会議方式により開催した第9回太平洋・島サミットにおいて、「持続可能で強靱な経済発展の基盤強化」及び「気候変動・防災」を含む支援の重点分野を表明しており、本件協力は同表明を具現化するものです。
パラオ共和国は、面積488平方キロメートル(屋久島とほぼ同じ)、人口1万8,092人(2020年、世界銀行)、一人当たり国民総所得(GNI)は1万4,390米ドル(2020年、世界銀行)。
昨年7月2日、テレビ会議方式により、菅総理(当時)とナタノ・ツバル首相の共同議長の下、第9回太平洋・島サミット(The Ninth Pacific Islands Leaders Meeting:PALM9)が開催され、日本、島嶼14か国(ツバル、クック諸島、フィジー、キリバス、マーシャル、ミクロネシア、ナウル、ニウエ、パラオ、パプアニューギニア、サモア、ソロモン、トンガ、バヌアツ)、豪州、ニュージーランドに加え、ニューカレドニア及び仏領ポリネシアの2地域を含む19か国・地域の首脳等が参加した。パラオからはスランゲル・S・ウィップス・Jr・パラオ共和国大統領が参加した。
我が国は、PALM9において、「太平洋のキズナ政策」の下、(1)新型コロナへの対応と回復、(2)法の支配に基づく持続可能な海洋、(3)気候変動・防災、(4)持続可能で強靱な経済発展の基盤強化、(5)人的交流・人材育成の5つを重点分野とし、今後3年間に、しっかりとした開発協力の継続と5,500人以上の人材交流・人材育成を実施することを表明した。