報道発表
シリア・アラブ共和国・ラッカ及びデリゾールにおける食料安全保障のための無償資金協力に関する書簡の交換
令和4年2月1日
2月1日(現地時間1月31日)、国際連合開発計画(UNDP)本部のあるニューヨークにおいて、我が方、大菅岳史国際連合日本政府代表部特命全権大使兼次席常駐代表と、先方、カリダ・ブザールUNDP事務総長補兼総裁補アラブ地域局長(Dr. Khalida Bouzar, Assistant Secretary-General, Assistant Administrator, Director of the Regional Bureau for Arab States, UNDP)との間で、9億9,000万円を供与額とする無償資金協力「ラッカ及びデリゾールにおける食料安全保障の強化計画(UNDP連携)」に関する交換公文の署名が行われました。
- 2011年3月のシリア危機発生から11年目に入り、同国では、国民の約90%が貧困層にあたるなど、人道危機と言われる状況が継続しており、約1,340万人が人道と保護の支援を必要としているといわれています。また、紛争と長期にわたる避難生活、生計手段の喪失や欠如、生産能力の低下、急激な通貨安等により、約1,240万人が食料不安に陥っていると推定されています。
- ラッカ及びデリゾールは、かつては穀倉地帯でしたが、紛争により農業インフラが破壊され、農業生産量が大幅に減少しており、農業インフラの修復と、農家が収入源を多様化し農業以外の収入源を確保することが、喫緊の課題となっています。また、地雷や不発弾等が広く残存しており、農作業に従事する人々の爆発物の危険性に対する意識を高めることも重要です。今回の協力は、ラッカ及びデリゾールにおいて、最も脆弱であるとされる世帯やコミュニティに対し、灌漑システムの復旧、農業機材の供与、農地へのアクセスに関する地雷リスク回避教育、脆弱層に対する農業以外の収入を得るための生計支援及び障がい者の支援等を実施するものです。この協力により、食料安全保障の向上及び危機の影響を受けた地域社会のレジリエンス(強靭性)の向上を図り、もってシリアの人道状況の改善に寄与することが期待されます。
(参考)シリア・アラブ共和国基礎データ
シリア・アラブ共和国の面積は約18.5万平方キロメートル、人口は約1,690万人(2019年、世界銀行)。