報道発表
人間の安全保障基金を通じたタジキスタンでの事業に対する支援
今般,国際連合から我が国に対し,タジキスタンで実施される「よりよい生活と社会的保護を伴うコミュニティの強化」事業に対して,国連人間の安全保障基金から約201万ドル(約1億6500万円)の支援を行うことが決定された旨通報がありました。本基金は,人間の安全保障の推進を目的として,1999年に我が国が主導して国連に設置されたものです。
この事業は,国連開発計画(UNDP),国連児童基金(UNICEF), 国連世界食糧計画(WFP),国連女性機関(UN Women)及び国連人口基金(UNFPA)が,タジキスタン北東部のラシュト・バレーの5つの地域における居住者の経済,健康,環境及び個人の安全を改善することにより,脆弱な立場にある人々の人間の安全保障を促進することを目的として実施するものです。主な内容は以下のとおりです。
(1)個人の生計の回復・立て直し及び農業・経済基盤の多角化を通じて,対象者の食料・経済安全保障を改善する。
(2)対象者とともに土地管理を強化し,水・灌漑・牧草・エネルギーへのアクセス改善を通じて,自然災害に対するコミュニティの脆弱性を低減することで,環境安全保障を確保する。
(3)すべての出生届と婚姻の戸籍を確保し,法的支援の権利を強化することで,コミュニティにおける子どもと女性の能力強化を図り,対象者の健康と個人の安全を改善する。
(4)女児が初等教育より先の教育を受ける機会を提供する。- この事業への支援が実施されることにより,タジキスタンにおける人間の安全保障の推進が期待されます。
(参考1)人間の安全保障基金
人間の安全保障の実践のため,我が国のイニシアティブにより1999年に国連に設置された信託基金。人間の安全保障基金に対し,我が国は現在までに総額約421億円(約3億8,008万ドル)を拠出している。これまでも,この基金を通じ人間の生存,生活,尊厳に対する多様な脅威に対して人間の安全保障の視点から取り組む国連関係国際機関の約210のプロジェクトを支援してきている。
(参考2)人間の安全保障に関する国連総会決議
2012年9月10日,第66回国連総会において,我が国の主導により「人間の安全保障の共通理解」に関する国連総会決議が採択された。
本決議は,国連加盟国間の長年にわたる議論を経て醸成された人間の安全保障に関する共通理解を確認するものであり,人間の安全保障の議論における大きな前進が諮られた。また,本決議には人間の安全保障基金のこれまでの貢献を認識し,加盟国に同基金への自発的な拠出の検討を要請するパラグラフも含まれている。