報道発表
日・インドネシア外相会談
令和3年3月29日
3月29日、午後5時35分から75分間、茂木敏充外務大臣は、訪日中のルトノ・マルスディ・インドネシア共和国外務大臣(H.E. Ms. Retno L.P. Marsudi, Minister for Foreign Affairs of the Republic of Indonesia)と外相会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
- 冒頭、茂木大臣から、28日にインドネシア・マカッサルで発生したテロの被害者にお見舞いを伝えるとともに、テロはいかなる理由によっても正当化できず、断固として非難する旨述べました。また、茂木大臣から、インドネシアはASEANの人口、GDP、面積の4割を占める地域の大国であり、日本の戦略的パートナーである旨を述べた上で、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、一層連携を強化したい旨述べました。これに対し、ルトノ大臣からは、二国間関係や地域の課題など幅広い分野で引き続き日本と緊密に連携していきたい旨述べました。
- 地域情勢
両大臣は、3月30日に行われる日インドネシア外務・防衛閣僚会合(「2+2」)を前に、外交政策全体の観点から、地域情勢について率直な意見交換を行いました。 茂木大臣から、海警法を含む最新の中国の動向について深刻な懸念を表明するとともに、両大臣は、東シナ海・南シナ海などの情勢について意見交換を行った上で、力による一方的な現状変更の試みの継続・強化について深刻な懸念を共有しました。また、両大臣は、日本とインドネシアを始めとする価値を共有する国々が認識を共有した上で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序作りを主導し、国際社会の平和・安定・繁栄を確保していくことが重要であり、引き続き緊密に連携していくことを確認しました。
また、両大臣は、ミャンマー情勢について、今月初めの日インドネシア外相電話会談以降の事態の推移を踏まえながら、突っ込んだ意見交換を行いました。茂木大臣は、27日にこれまでで最多の死者を数えるなど、ミャンマーで多数の死傷者が発生し続けている状況を強く非難しました。茂木大臣は、ASEANによる事態打開に向けた取組を歓迎するとともに、インドネシアの指導力に敬意を表しました。これに対して、ルトノ外相からは、ミャンマーを含むASEAN諸国間のやり取りや今後の取組について説明がありました。両大臣は、情勢の改善に向け今後も引き続き緊密に連携していくことで一致しました。 - 二国間関係
- (1)茂木大臣から、新型コロナで落ち込んだ経済を回復軌道に乗せるためにも、サプライチェーンの重層化等、危機に強い経済の実現が重要であり、日本は日本企業の生産拠点の多元化支援を行っており、引き続きインドネシアの雇用創出や人材育成に貢献したい旨述べたのに対し、ルトノ大臣から歓迎する旨の発言がありました。
- (2)茂木大臣から、新型コロナ対策として、インドネシアに対して新たに約4億円のコールド・チェーン構築支援を行っていく旨述べました。これに対し、ルトノ大臣からは、日本の協力に対する謝意の表明がありました。また、両大臣は、コロナ感染症の収束のためには、ワクチンが全世界に公平に行き渡ることが不可欠であり、そのための国際協力を進めることの重要性について一致しました。
- (3)茂木大臣から、「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)と「インド太平洋に関するASEANアウトルック」(AOIP)の実現に向け、特にインフラ協力による連結性向上等の取組として、パティンバン港整備に係る約700億円の円借款供与の可能性につき言及しました。これに対し、ルトノ大臣から、日本の協力への謝意が表明されるとともに、インフラ分野の協力を日本との間で強化していきたい旨述べました。
- (4)そのほか茂木大臣から、日本産食品の輸入規制撤廃を働きかけました。また、茂木大臣から、本年の東京オリンピック・パラリンピック及び2025年の大阪・関西万博への協力を求めたのに対し、ルトノ大臣は、東京オリンピック・パラリンピックの成功をお祈りしていると述べました。