報道発表

日・クロアチア租税協定の署名

平成30年10月19日
日・クロアチア租税協定の署名

1 本19日(現地時間同日),クロアチアのザグレブにおいて,山田賢司外務大臣政務官とズドラブコ・マリッチ財務大臣(Dr. Zdravko Marić,Minister of Finance)との間で,「所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とクロアチア共和国との間の協定」(日・クロアチア租税協定)和文(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)の署名が行われました。

2 この協定は,両国間で生ずる二重課税を除去するため,両国において課税することができる所得の範囲を定める規定等を設けています。また,この協定の締結によって,両国の税務当局間において,協定の規定に従っていない課税についての協議,租税に関する情報交換及び租税債権の徴収共助の実施が可能となります。これらにより,二重課税を除去し,国際的な脱税及び租税回避行為を防止しつつ,両国間の投資・経済交流を一層促進することが期待されます。

3 この協定の主な内容は,以下のとおりです。

(1)事業利得に対する課税
 事業利得については,企業が進出先国に支店等の恒久的施設を設けて事業活動を行っている場合に,その恒久的施設に帰属する利得に対してのみ,進出先国において課税することができます。また,恒久的施設に帰属する利得は,本支店間の内部取引を網羅的に認識し,独立企業原則を厳格に適用して計算されます。

(2)投資所得に対する課税
 投資所得(配当,利子及び使用料)については,以下のとおり,源泉地国(所得が生ずる国)における課税の上限(限度税率)が設けられ,又は課税が免除されます。

配 当 免税(議決権保有割合25%以上・保有期間365日以上)
5%(その他)
利 子 免税(政府受取等)
5%(その他)
使用料 5%

(3)協定の特典の濫用防止
 協定の特典の濫用を防止するため,配当に対する免税は原則として一定の要件を満たす適格者に限って認められます。また,協定の特典を受けることが取引等の主要な目的の一つであったと認められる場合及び第三国に存在する恒久的施設に帰属する一定の所得については,協定の特典は認められません。

(4)相互協議手続
 協定の規定に従っていない課税は,両国の税務当局間の協議による合意に基づき解決されます。

(5)情報交換及び徴収共助
 国際的な脱税及び租税回避に効果的に対処するため,両国間における租税に関する情報交換及び租税債権の徴収に関する相互支援が導入されます。

4 この協定は,両国においてそれぞれの国内手続(我が国においては国会の承認を得ることが必要)を経た後,外交上の経路を通じて,その国内手続の完了を確認する通告を相互に行い,遅い方の通告が受領された日の後30日目の日に効力を生じ,次のものについて適用されることとなります。

(1)課税年度に基づいて課される租税に関しては,この協定が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に開始する各課税年度の租税

(2)課税年度に基づかないで課される租税に関しては,この協定が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に課される租税

(3)情報交換及び徴収共助に関する規定は,対象となる租税が課される日又はその課税年度にかかわらず,この協定が効力を生ずる日から適用されます。


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