報道発表

新日・ベルギー租税条約の署名

平成28年10月12日

1 本12日,東京において,日本国政府とベルギー王国政府との間で「所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とベルギー王国との間の条約」(新日・ベルギー租税条約)和文(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)の署名が行われました。この新条約は,1970年に発効した現行条約(1990年及び2013年に一部改正)に代わるものです。

2 この条約は,両国間の投資・経済活動に係る課税関係を明確にし,二重課税を調整するとともに,両国間の課税問題を解決するための税務当局間の相互協議手続(仲裁手続を含む。)を設けることにより,相互の投資・経済交流を一層促進することを目的とするものです。また,この条約により,税務当局間での協力の枠組みとして,国際標準に基づく実効的な情報交換や徴収共助の仕組みが規定され,国際的な租税回避や徴収回避の防止に資することとなります。

3 新条約の主な内容は,以下のとおりです。

(1)事業利得に対する課税の改正
 事業利得について,進出先国において課税することができる企業の支店等の恒久的施設に帰属する利得は,本支店間の内部取引を網羅的に認識し,独立企業原則を厳格に適用して計算される。

(2)投資所得に対する源泉地国課税の更なる軽減
 投資所得(配当,利子及び使用料)については,以下のとおり,源泉地国(所得が生ずる国)における課税の上限(限度税率)が引き下げられ,又は課税が免除される。

       現行条約 改正後      
       配 当              
5%(ベルギー法人支払配当,持株25%以上・保有期間6月以上)
10%(日本法人支払配当,持株割合25%以上・保有期間6月以上)
15%(その他)
免税(議決権割合10%以上・保有期間6月以上)
免税(年金基金受取)
10%(その他) 
利 子 10% 免税(企業間受取等)
10%(その他)
使用料 10% 免税

(3)条約の特典の濫用防止
 条約の特典の濫用を防止するため,一定の要件を満たす適格者等である居住者に限定して条約の特典が認められる。また,条約の特典を受けることが取引等の主要な目的の一つであったと認められる場合については,条約の特典は認められない。

(4)相互協議手続における仲裁制度の導入
 条約の規定に従っていない課税は,両国の税務当局間の協議により2年以内に事案が解決されない場合には,第三者から構成される仲裁委員会の決定に従って解決される。

(5)徴収共助の導入
 国際的な脱税及び租税回避に効果的に対処するため,両国間における租税債権の徴収に関する相互支援が導入される。

4 この条約は,それぞれの国内手続(我が国の場合は国会承認を得ること)が完了したことをお互いに通告し,遅い方の通告が受領された日の後30日目の日に効力を生じます。
 新課税期間に基づいて課される租税に関しては,本条約が効力を生ずる年の翌年の1条約は,我が国については次のものに適用されます。

(1)月1日以後に開始する各課税期間の租税

(2)課税期間に基づかないで課される租税に関しては,本条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に課される租税


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