報道発表
日・スロベニア租税条約の署名
1 本30日,東京において、岸信夫外務副大臣とシモナ・レスコヴァル駐日スロベニア大使(H.E. Ms. Simona Leskovar,Ambassador of the Republic of Slovenia)との間で,「所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とスロベニア共和国との間の条約」(日・スロベニア租税条約)(和文(PDF)/英文(PDF)
)の署名が行われました。
2 この条約は,両国間の投資・経済活動に係る課税関係を明確にし,二重課税を調整するとともに,両国間の課税問題を解決するための税務当局間の相互協議手続(仲裁手続を含む。)を設けることにより,相互の投資・経済交流を一層促進することを目的とするものです。また,この条約により,税務当局間での協力の枠組みとして,国際標準に基づく実効的な情報交換や徴収共助の仕組みが規定され,国際的な租税回避や徴収回避の防止に資することとなります。
3 この条約の主な内容は,以下のとおりです。
(1)事業活動によって取得する利得に対する課税
事業活動によって取得する利得については,企業が進出先国に支店等の恒久的施設を設けて事業活動を行っている場合にのみ,その恒久的施設の行う事業活動によって取得する利得に限定して,進出先国において課税する。また,恒久的施設に帰属する事業利得に対する課税について,本支店間の内部取引を認識し,独立企業原則を適用して恒久的施設に帰属する利得を計算することを規定する。
(2)投資所得に対する課税の減免
投資所得(配当,利子及び使用料)については,以下のとおり,源泉地国(所得が生じた国)における課税の上限(限度税率)が設けられ,又は課税が免除される。
配当 | 利子 | 使用料 |
5% |
免税(政府受取等)
5%(その他)
|
5% |
(3)条約の特典の濫用を防止する規定
条約の特典の濫用を防止する観点から,条約の特典を受けることが取引等の主要な目的の一つであったと認められる場合については,源泉地国において条約の特典が与えられないことを規定する。
(4)税務当局間の協議及び仲裁制度
条約の規定に従っていない課税は,税務当局間の協議による合意に基づき解決される。また,税務当局間の協議により2年以内に事案が解決されない場合には,第三者から構成される仲裁委員会の決定に従って解決される。
(5)情報交換及び徴収共助
国際的な脱税及び租税回避行為に効果的に対処するため,両国間における租税に関する情報交換及び租税債権の徴収に関する相互支援が導入される。
4 この条約は,それぞれの国内手続(我が国の場合は国会承認を得ること)が完了したことを通告し,遅い方の通告が受領された日の後30日目の日に効力を生じます。
この条約は,我が国については次のものに適用されます。
(1)課税期間に基づいて課される租税に関しては,本条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に開始する各課税期間の租税
(2)課税期間に基づかないで課される租税に関しては,本条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に課される租税