報道発表

野口元郎国際刑事裁判所被害者信託基金理事長の再選

平成28年4月18日

1 本18日(現地時間同日),オランダのハーグで開催された国際刑事裁判所(ICC)被害者信託基金(TFV)理事会において,我が国の野口元郎理事(最高検察庁検事,元カンボジア・クメール・ルージュ特別法廷最高審裁判官)が同信託基金理事長に再選されました。野口理事長は,昨年11月のICC締約国会議第14回会合において行われたTFV理事会理事選挙において理事に再選されていました。

2 TFVは,ウガンダ及びコンゴ民主共和国において,女性・児童等の被害者の支援事業を実施し,着実に成果を上げているほか,2014年に確定判決が出されたコンゴ民主共和国の事件における被害者への賠償事業の本格化のための作業を進めています。

3 野口理事長が,その知見と経験を生かして,ICCにおける被害者支援事業の実施において理事長としてのリーダーシップを引き続き発揮していくことは,ICCに一貫して積極的に貢献している我が国にとっても重要な意義を有するものです。

4 我が国は,引き続きICCの活動に積極的に貢献していきます。

(参考1)国際刑事裁判所(ICC)
 国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪(集団殺害犯罪,人道に対する犯罪,戦争犯罪,侵略犯罪)を犯した個人を,国際法に基づき訴追・処罰するための,史上初の常設の国際刑事法廷。設立条約たるローマ規程は,1998年7月に採択され,2002年7月1日に発効。我が国は,2007年7月17日に加入書を寄託し,同年10月1日に105番目の加盟国となった。2016年4月現在の締約国数は124。裁判所はオランダのハーグに所在。

(参考2)ICC被害者信託基金(TFV)
 ICCの被害者信託基金(TFV)は,ICCローマ規程に基づき,ICC第1回締約国会議において設立された。TFVは,ICCの管轄権の範囲内にある犯罪の被害者及びその家族のために,(1)裁判所の有罪判決に基づき被害者賠償を行うこと,及び(2)ICCが管轄権を行使している事態において,被害者及びその家族に物理的リハビリテーション,物資供与及び精神的リハビリテーション等を供与することを任務とし,その資金は,国家,団体,個人等からの任意拠出金等によって賄われる。我が国は2014年以降累計約65万ユーロを拠出している。
 TFVはこれまで,上記(2)の役割を果たすため,コンゴ民主共和国やウガンダにおいて,性的暴力の被害者や元児童兵,誘拐された児童に対する支援などの被害者等を対象とする支援プロジェクトを行ってきたが,今後は,上記(1)の損害賠償の実施のための活動も本格化される。
 TFV理事会は,個人資格で行動する5名の理事(5グループから各1名。任期3年。1回のみ再選可。)で構成され,TFVのために国家,団体,個人などからの任意拠出を募るほか,年1回以上の理事会を開いてプロジェクトの内容,基金の配分等に関する決定を行う。

(参考3)現在のTFV理事会メンバー

  • 野口元郎理事長(Mr. Motoo NOGUCHI,日本)
  • ママ・ドゥンビア・コイテ(Ms. Mama Doumbia KOITE,マリ)
  • フェリペ・ラウル・ミチェリニ(Mr. Felipe Raúl MICHELINI,ウルグアイ)
  • アルミンカ・ヘリッチ(Ms. Arminka HELIĆ,英国 )
  • アルマ・タソ・デリコビッチ(Ms. Alma TASO DELJKOVIĆ,ボスニア・ヘルツェゴビナ)

報道発表へ戻る