報道発表
パキスタンに対する無償資金協力に関する書簡の交換
1 本28日(現地時間同日),パキスタン・イスラム共和国の首都イスラマバードにおいて,我が方猪俣弘司駐パキスタン大使と先方ムハンマド・サリーム・セティ財務・歳入・経済・統計・民営化省経済担当次官(Mr. Muhammad Saleem Sethi, Secretary to the Government of the Islamic Republic of Pakistan, Ministry of Finance, Revenue, Economic Affairs, Statistics and Privatization, Economic Affairs Division)との間で,以下2件の無償資金協力に関する書簡の交換が行われました。
(1)テロ対策等治安無償資金協力「カラチ港及びビンカシム港治安強化計画」(The Project for Security Improvement in Port Karachi and Port Bin Qasim)(供与限度額:18億7,700万円)
(2)一般プロジェクト無償資金協力「ラホール給水設備エネルギー効率化計画(詳細設計)」(The Project for Energy Saving in Water Supply System in Lahore (Detailed Design))(供与限度額:5,700万円)
2 各案件の概要はそれぞれ以下のとおりです。
(1)「カラチ港及びビンカシム港治安強化計画」(位置図(PDF))
2001年9月11日に発生した米国同時多発テロ事件以降,パキスタン政府は治安対策,テロ発生の防止を重要視し,関連法の制定,テロリスト掃討作戦の実施とともに,国境や港湾における警備全般の強化や武器保有の規制を行っています。そのような中,パキスタンを代表する国際港であるカラチ港及びビンカシム港では,国際貿易の安全確保等を目的として世界税関機構(WCO)で採択された検査水準を満たしておらず,目視による開披検査が主流になっているなど,検査体制の質の確保及び通関の円滑化に大きな支障をきたしています。
この協力は,カラチ港及びビンカシム港に国際的水準に合致した大型X線検査装置の整備等を行うことで,コンテナ検査体制の強化及び通関の円滑化を図るものです。また,我が国はこれまでに同国の主要国際空港への保安検査機材の整備を支援しており,本件との相乗効果が期待されます。この協力により,両港における物流,輸出入にかかる国際的信用の向上に貢献するとともに,国際社会の平和と安定への寄与が期待されます。
(2)「ラホール給水設備エネルギー効率化計画(詳細設計)」
ラホール市は,パキスタンの約55%の人が暮らすパンジャブ州の州都であり,人口740万人を抱える経済活動の中心地です。ラホール市では,人口増加に伴う水需要の増加に対応すべく,これまで深井戸の設置により水源を確保してきました。しかし,井戸の多くは耐用年数を超えて稼働しており,老朽化による揚水量やエネルギー効率の低下に加え,同国における計画停電の影響等もあり,計画給水量が確保できなくなっています。
この協力は,ラホール市における老朽化した深井戸を更新するとともに,給水設備のエネルギー効率の改善を図るための監査機材等を整備するものです。この協力により,安定的な水供給の実現とともに,これを通じた対象地域の社会・経済活動の活性化が期待されます。
なお本件は,我が国が2013年11月に策定した攻めの地球温暖化外交戦略「Actions for Cool Earth: ACE」の中で表明した,2013年から2015年までの3年間の気候変動分野における途上国支援策の一環として実施するものです。我が国としては,すべての国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築に向け,パキスタンと引き続き気候変動分野で連携していきます。
(参考)
パキスタン・イスラム共和国は,面積約79.6万平方キロメートル,人口1億8,802万人(2013/2014年度,パキスタン経済白書),1人当たりの国民総所得(GNI)1,380米ドル(2013年,世界銀行)。