報道発表
人間の安全保障基金を通じたリベリア共和国における事業に対する支援
1 今般,国際連合から我が国に対し,「リベリア共和国における見過ごされているコミュニティに対する人間の安全保障イニシアチブ」(約249万ドル)に対して,人間の安全保障基金を通じて支援を行うことを決定した旨通報がありました。この基金は,人間の安全保障の推進を目的として,1999年に我が国が主導して国連に設置されたものです。
2 この事業は,国連食糧農業機関(FAO),国連児童基金(UNICEF),国連人口基金(UNFPA),国際労働機関(ILO),世界食糧計画(WFP)及びジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関(UN Women)が,土地を巡る紛争,食料不足のリスク,水衛生といった社会的サービスの欠如,低収入,脆弱な社会的一体性といった諸課題に対応するため,脆弱な状況にある地域住民の保護と地域組織の能力強化を行うものです。主な内容は以下のとおりです。
(1)平和構築,紛争解決,社会的統合を促進するための地域組織や地方自治体の支援
(2)市場や道路の整備,技術的指導や雇用創出を通じた農業分野における生計向上
(3)性及びジェンダーに基づく暴力(SGBV)や,児童婚等の課題に対する包括的な予防や対応の確保
(4)HIV/AIDS等の感染症の予防や,水・衛生サービスの持続性の確保
3 この事業により,リベリアの脆弱層の人間の安全保障の推進が期待されます。
(参考1)人間の安全保障基金
人間の安全保障の実践のため,我が国のイニシアティブにより1999年に国連に設置された信託基金。人間の安全保障基金に対し,我が国は現在までに総額約436億円(約4億34万ドル)を拠出している。これまでも,この基金を通じ人間の生存,生活,尊厳に対する多様な脅威に対して人間の安全保障の視点から取り組む国連関係の国際機関が行う227件のプロジェクトを支援してきている。
(参考2)人間の安全保障に関する国連総会決議と国連事務総長報告書
2012年9月10日,第66回国連総会において,我が国の主導により「人間の安全保障の共通理解」に関する国連総会決議が採択された。同決議は,国連加盟国間の長年にわたる議論を経て醸成された人間の安全保障に関する共通理解を確認するものであり,人間の安全保障の議論が大きく前進した。
同決議を受け,2014年1月21日,人間の安全保障に関する事務総長報告書が発出された。本報告書では,人間の安全保障を,平和と安全保障・開発・人権という3つの相互関連性のある国連の柱に関係する普遍的な枠組みと位置付け,人間の安全保障の利点,付加価値及び有用性が説明されている。