報道発表

人間の安全保障基金を通じたパキスタンでの事業に対する支援

平成26年3月14日

1 今般,国際連合から我が国に対し,パキスタンで実施される「人間の安全保障の改善に向けたコミュニティレベルでの平和の促進と多分野に及ぶ開発によるパキスタンにおける長期化した紛争の悪影響の軽減」事業に対して,国連人間の安全保障基金から約216万ドルの支援を行うことが決定された旨通報がありました。本基金は,人間の安全保障の推進を目的として,1999年に我が国が主導して国連に設置されたものです。

2 この事業は,国連教育科学文化機関(UNESCO),国連開発計画(UNDP)及び世界保健機関(WHO)が,保健,教育及び平和構築・復興・安全・社会的調和のための資源へのアクセスの向上を通じて,紛争の影響を受けた地域における人々の社会保障の状況を改善することを目的として実施するものです。主な内容は以下のとおりです。

(1)コミュニティの動員を確保しつつ,教育,保健及び課外活動へのアクセスを改善

(2)コミュニティのインフラ復興を通じた,安全かつ持続可能な生活に向けた選択肢の確保

(3)コミュニティレベルにおける,平和に資する文化,紛争解決,持続可能な開発のための教育,保健及び社会的統合の促進

3 この事業への支援が実施されることにより,パキスタンの脆弱層における人間の安全保障の推進が期待されます。

(参考1)人間の安全保障基金
 人間の安全保障の実践のため,我が国のイニシアティブにより1999年に国連に設置された信託基金。人間の安全保障基金に対し,我が国は現在までに総額約428億円(約3億9,021万ドル)を拠出している。これまでも,この基金を通じ人間の生存,生活,尊厳に対する多様な脅威に対して人間の安全保障の視点から取り組む国連関係国際機関が行う218件のプロジェクトを支援してきている。

(参考2)人間の安全保障に関する国連総会決議と国連事務総長報告書
 2012年9月10日,第66回国連総会において,我が国の主導により「人間の安全保障の共通理解」に関する国連総会決議が採択された。同決議は,国連加盟国間の長年にわたる議論を経て醸成された人間の安全保障に関する共通理解を確認するものであり,人間の安全保障の議論が大きく前進した。
 同決議を受け,2014年1月21日,人間の安全保障に関する事務総長報告書が発出された。本報告書では,人間の安全保障を,平和と安全保障・開発・人権という3つの相互関連性のある国連の柱に関係する普遍的な枠組みと位置付け,人間の安全保障の利点,付加価値及び有用性が説明されている。


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