報道発表

新日・デンマーク租税条約の署名

平成29年10月11日
新日・デンマーク租税条約の署名1
新日・デンマーク租税条約の署名2
新日・デンマーク租税条約の署名3
1 本11日,東京において,河野太郎外務大臣とアナス・サムエルセン・デンマーク王国外務大臣(Mr. Anders Samuelsen, Minister for Foreign Affairs of the Kingdom of Denmark)との間で,「所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とデンマーク王国との間の条約」(新日・デンマーク租税条約)(和文(PDF) / 英文(PDF))の署名が行われました。
 
2 新条約は,1968年に発効した現行条約を全面的に改めるものであり,具体的には,事業利得に対する課税の改正,投資所得に対する課税の更なる軽減のほか,条約の濫用防止措置,相互協議手続における仲裁手続及び租税債権の徴収共助の導入並びに租税に関する情報交換の拡充を行うものです。これらにより,二重課税を除去し,国際的な脱税及び租税回避行為を防止しつつ,両国間の投資・経済交流を一層促進することが期待されます。
 
3 新条約の主な内容は,以下のとおりです。
(1)事業利得に対する課税
事業利得については,企業が進出先国に支店等の恒久的施設を設けて事業活動を行っている場合に,その恒久的施設に帰属する利得に対してのみ,進出先国において課税することができる。また,恒久的施設に帰属する利得は,本支店間の内部取引を網羅的に認識し,独立企業原則を厳格に適用して計算される。
 
(2)投資所得に対する課税
投資所得(配当,利子及び使用料)については,以下のとおり,源泉地国(所得が生ずる国)における課税の上限(限度税率)が引き下げられ,又は課税が免除される。
 
  現行条約 改正後
配当 10%(議決権保有割合25%以上・保有期間12月以上)
15%(その他)
免税(日本法人支払配当,議決権保有割合10%以上・保有期間6月以上)
免税(デンマーク法人支払配当,資本割合10%以上・保有期間6月以上)
免税(年金基金受取)
15%(その他)
利子 10% 免税
使用料 10% 免税
 
(3)条約の特典の濫用防止
条約の特典の濫用を防止するため,投資所得に対する免税は一定の要件を満たす適格者等である居住者に限って認められる。また,条約の特典を受けることが取引等の主要な目的の一つであったと認められる場合及び第三国に存在する恒久的施設に帰属する一定の所得については,その条約の特典は認められない。
 
(4)相互協議手続及び仲裁制度
条約の規定に従っていない課税は,両国の税務当局間の協議による合意に基づき解決される。また,両国の税務当局間の協議により2年以内に事案が解決されない場合には,第三者から構成される仲裁委員会の決定に従って解決される。
 
(5)情報交換及び徴収共助
国際的な脱税及び租税回避に効果的に対処するため,両国間における租税に関する情報交換の対象となる租税及び事案が拡大されるとともに,両国間における租税債権の徴収に関する相互支援が導入される。
 
4 新条約は,両国においてそれぞれの国内手続(我が国においては国会の承認を得ることが必要)に従って承認された後,その承認を通知する外交上の公文の交換の日の後30日目の日に効力を生じ,次のものについて適用されることとなります。
(1)課税年度に基づいて課される租税に関しては,新条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に開始する各課税年度の租税
(2)課税年度に基づかないで課される租税に関しては,新条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に課される租税
 
5 情報交換及び徴収共助に関する規定は,対象となる租税が課される日又はその課税年度にかかわらず,新条約が効力を生ずる日から適用されます。
 
6 仲裁制度に関する規定は,次の事案について適用されます。
(1)外交上の公文の交換によって合意する日以後に新条約の相互協議の規定に従って申し立てられた事案
(2)(1)に規定する日の前に新条約の相互協議の規定に従って申し立てられた事案。この場合には,当該事案の未解決の事項は,同日から2年を経過するまでは,仲裁に付託されない。

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