報道発表

新日・オーストリア租税条約の署名

平成29年1月31日
1 1月30日(現地時間同日),オーストリアのウィーンにおいて,「所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とオーストリア共和国との間の条約(和文(PDF) / 英文(PDF))」(新日・オーストリア租税条約)の署名が,小井沼紀芳駐オーストリア大使とハンス・ヨルグ・シェリング・オーストリア共和国財務大臣(H.E.Mr. Hans Jörg SCHELLING, Minister for Finance of the Republic of Austria)との間で行われました。

2 新条約は,1963年に発効した現行条約の内容を全面的に改めるものであり,両国間の投資・経済交流を一層促進するために,投資所得(配当,利子及び使用料)に対する課税の更なる軽減や,条約の規定に従っていない課税事案を解決するための相互協議手続への仲裁制度の導入を行うものです。また,新条約は,徴収共助に関する条項を導入することにより,両国の税務当局間の協力関係を拡大しています。

3 新条約の主な内容は,以下のとおりです。
(1)投資所得に対する課税の更なる軽減
投資所得(配当,利子及び使用料)については,以下のとおり,源泉地国(所得が生ずる国)における課税の上限(限度税率)が引き下げられ,又は課税が免除されます。
 
  現行条約 改正後
配当 10%(株式資本割合50%超・保有期間12月以上)
20%(その他)
免税(議決権割合10%以上・保有期間6月以上)
免税(年金基金受取)
10%(その他)
利子 10% 免税
使用料 10% 免税

(2)条約の特典の濫用防止
条約の特典の濫用を防止するため,投資所得に対する免税は一定の要件を満たす適格者等である居住者に限って認められます。また,条約の特典を受けることが取引等の主要な目的の一つであったと認められる場合については,その条約の特典は認められません。
(3)相互協議手続における仲裁制度の導入
条約の規定に従っていない課税は,両国の税務当局間の協議により2年以内に事案が解決されない場合には,第三者から構成される仲裁委員会の決定に従って解決されます。
(4)情報交換及び徴収共助の拡充
国際的な脱税及び租税回避に効果的に対処するため,両国間における租税に関する情報交換の対象となる租税及び事案が拡大されるとともに,両国間における租税債権の徴収に関する相互支援が導入されます。

4 この新条約は,両国においてそれぞれの国内手続(我が国においては国会による承認)が完了したことを通知する外交上の公文の交換の日の後30日目の日に効力を生じます。
新条約は,我が国については次のものに適用されます。
(1)課税年度に基づいて課される租税に関しては、本条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に開始する各課税年度の租税
(2)課税年度に基づかないで課される租税に関しては、本条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に課される租税

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