報道発表
パキスタンに対する円借款「電力セクター改革プログラム」供与の表明
平成26年4月24日
- 4月22日,我が国は,パキスタンにおける電力セクター改革を支援するため,50億円を限度とする円借款を供与することを,我が方猪俣弘司駐パキスタン大使から先方イスハク・ダール財務大臣に通報しました。本件は,アジア開発銀行(ADB),世界銀行との協調融資を予定しており,本24日のADBによる支援表明に合わせて,発表するものです(世界銀行は,今後,支援についての決定を行う予定)。今後,本件円借款の供与に関する交換公文の早期署名に向けて,両国間で調整が進められます。
- パキスタンでは,電力料金の未払いや送配電ロス等により,発送電事業者がコストを回収できないため,設備稼働率が低下し,その結果,長時間の停電が発生しています。また,電力料金に対する過度な補助金が財政を圧迫する一因になっています。このような,電力セクターの構造的問題が,財政収支の悪化,経済成長の圧迫要因となっています。昨年5月に誕生したシャリフ新政権は,「国家電力政策2013」を昨年7月に策定し,電力セクター改革を喫緊の課題と位置づけて取り組んでいます。
- これを受け,我が国としても,パキスタンの電力セクター改革努力を支援するべく,本件円借款の供与検討を進めてきました。我が国が世界銀行,ADBと共同で策定した電力セクター改革プログラムには,(1)電力料金と補助金の設定,(2)発電コストの縮小,(3)説明責任と透明性の向上の各分野において達成すべき具体的な政策目標が設定されています。本件円借款は,その達成を供与のための条件とするものです。本プログラムの実施により,電力セクター改革が促進されるとともに,財政の改善,経済活動の活性化が期待されます。
- 我が国は,これまでもパキスタンの電力セクターにおいて,発電施設の建設,送変電システムの整備及び維持管理能力強化等の支援を実施してきました。多くの人口を抱え,市場としての高い潜在性を有するパキスタンにおいては,引き続き,電力セクターの開発ニーズが高くなると予想されています。我が国は,電力セクター改革プログラムに対するパキスタン政府の継続的な取り組み及びその進捗状況を注視しつつ,国際社会とも歩調を合わせながら,今後とも,適切なタイミングで必要な支援を実施していく考えです。
(参考)
パキスタン・イスラム共和国は,面積約79.6万平方キロメートル,人口1億8,435万人(2012/2013年度,パキスタン経済白書),1人当たりのGNI(国民総所得)1,260米ドル(2012年,世界銀行)です。