報道発表
タンザニア連合共和国に対する円借款「タンザニア農業投入材支援計画」及び水産業発展のための無償資金協力に関する書簡の交換
令和5年4月27日
4月27日(現地時間同日)、タンザニア連合共和国のダルエスサラーム市において、三澤康駐タンザニア連合共和国日本国特命全権大使とナトゥ・ムワンバ・タンザニア連合共和国財務計画省次官(Natu E. MWAMBA, Permanent Secretary, Ministry of Finance and Planning, United Republic of Tanzania)との間で、円借款「タンザニア農業投入材支援計画」(供与限度額100億円)及び平成30年度無償資金協力「経済社会開発計画」(水産機材供与)の限度額の修正に関する2件の交換公文の署名及び書簡の交換が行われました。
- 円借款「タンザニア農業投入材支援計画」
- 案件概要
タンザニアにおいて、農業分野はGDPの26%、全輸出額の30%を占める基幹産業である一方、同国の農業生産高の約80%は、天候に影響される天水栽培を行っている小規模農家によるもので、気候変動や害虫病に強い優良種子や肥料はほとんど使用されていないため、平均的な作物収量は本来期待できる水準の三分の一程度にとどまっています。
さらに、今般のロシアによるウクライナ侵略により、アフリカ大陸では小麦、トウモロコシ、油糧等の主要穀物種子の供給が不足する中で、改良種子や高品質肥料などの農業投入材の供給の停滞が今後さらに深刻化すると予想されており、食料供給と栄養確保がタンザニアの喫緊の課題となっています。
この協力は、ウクライナ侵略による食料安全保障危機の影響を受けているタンザニアに対して、アフリカ開発銀行との協調融資枠組みである「アフリカ緊急食糧生産ファシリティ」を通じて、小規模農家向けの高品質の農業投入材(優良種子及び肥料)供給の拡大支援を行うものです。
我が国は、2022年8月に開催した第8回アフリカ開発会議(TICAD8)において、食料危機対応・持続可能な農業生産支援に取り組むことを表明しており、この協力は同表明を具体化するものです。 - 供与条件
ア 金利:年0.01%(一般条件(LDCかつ貧困国))
イ 償還期間:40年(10年の据置期間を含む。)
ウ 調達条件:一般アンタイド
- 無償資金協力「経済社会開発計画」
タンザニアは、東アフリカ沿岸諸国で最大の20万㎢に上る排他的経済水域をもち、マグロを含む豊富な水産資源がありますが、タンザニア政府及び漁業従事者は沖合で操業できる漁船を有しておらず、水産資源を十分に活用できていない状況にあります。ほとんどの漁業従事者は零細であり、その漁場は沿岸に留まることから、沿岸海域の水産資源の枯渇リスクが高まっています。
この協力は、タンザニア政府に対し、沖合での操業が可能な漁船と、魚の安全な流通に必要な水産関連機材(製氷機、冷蔵倉庫等)を供与することにより、同国の水産業の振興を図り、社会の安定化を通じたタンザニアの経済社会開発及び二国間関係の強化に寄与するものです。
本計画は、2019年12月に、供与額2億円として無償資金協力の署名を行ったものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響による資材価格や海上輸送費の高騰等を受け、資金が不足することから、今般1.5億円の追加贈与を行い、供与額を3.5億円に修正しました。
[参考]
タンザニア連合共和国の面積は約94.5万平方キロメートル(日本の約2.5倍)、人口は約6,100万人(2021年、世界銀行)、1人当たりの国民総所得(GNI)は1,140米ドル(2021年、世界銀行)。