報道発表
パラオ共和国に対する無償資金協力「農畜産業発展支援計画」に関する書簡の交換
令和3年7月30日
7月30日(現地時間同日)、パラオ共和国のコロールおいて、我が方、柄澤彰駐パラオ共和国日本国特命全権大使と先方、スランゲル・S・ウィップス・Jr・パラオ共和国大統領(H.E. Mr. Surangel S. WHIPPS, Jr., President of the Republic of Palau)との間で、供与額2億円の無償資金協力「農畜産業発展支援計画」に関する書簡の交換が行われました。
- パラオは、食料、エネルギー等、経済社会を支える基盤を外国に大きく依存し、生活物資のほとんどを輸入に頼っており、食料自給率は約15%にとどまっています。こうした中、新型コロナウイルスの世界的流行により他国との人や物の往来が制約され、外国に依存する経済社会基盤が脅かされています。食料自給率を高めるために、持続可能な農畜産業の確立を図ることは同国にとって喫緊の課題の一つです。特に、農業に関しては、農業用重機の活用による農地開発、畜産業に関しては、食肉処理能力の向上、付加価値の高い加工製品の開発及び生産、家畜等の衛生検査能力の向上が主要な課題となっています。
- 本計画は、パラオ政府に対し、食鳥処理場、食肉加工場及び動物衛生検査場(プレハブハウス)を建設し、日本企業製品を含む農畜産業関係機材(トレイラー、食肉加工機器、検査機器等)を供与することにより、同国における農畜産業の振興を通じ、食料安全保障の向上等を図り、もって社会の安定化を通じた同国の経済社会開発に寄与するものです。
- 我が国は、本年7月2日にテレビ会議方式により開催した第9回太平洋・島サミットにおいて、「持続可能で強靭な経済発展の基盤強化」を支援の柱の一つとして表明しており、上記の協力は同表明を具現化するものです。また、本計画は、本年5月21日にウィップス・パラオ共和国大統領と野上農林水産大臣の間で署名された「日パラオ農業協力に関する覚書」に基づくものです。
- 7月2日、テレビ会議方式により、菅総理とナタノ・ツバル首相の共同議長の下、第9回太平洋・島サミット(The Ninth Pacific Islands Leaders Meeting: PALM9)が開催され、日本、島嶼14か国(ツバル、クック諸島、フィジー、キリバス、マーシャル、ミクロネシア、ナウル、ニウエ、パラオ、パプアニューギニア、サモア、ソロモン、トンガ、バヌアツ)、豪州、ニュージーランドに加え、ニューカレドニア及び仏領ポリネシアの2地域を含む19か国・地域の首脳等が参加した。パラオからはスランゲル・S・ウィップス・Jr・大統領が参加した。
- 我が国は、PALM9において、「太平洋のキズナ政策」の下、(1)新型コロナへの対応と回復、(2)法の支配に基づく持続可能な海洋、(3)気候変動・防災、(4)持続可能で強靱な経済発展の基盤強化、(5)人的交流・人材育成の5つを重点分野とし、今後3年間に、しっかりとした開発協力の継続と5,500人以上の人材交流・人材育成を実施することを表明した。
[参考1]パラオ共和国基礎データ
パラオ共和国は、面積488平方キロメートル(屋久島とほぼ同じ)、人口1万8,000人(2019年、世界銀行)、1人当たり国民総所得(GNI)は1万6,490米ドル(2019年、世界銀行)。
[参考2]第9回太平洋・島サミット
[参考3] 日パラオ農業協力に関する覚書
本年5月21日、我が国から野上農林水産大臣、パラオ共和国からウィップス大統領が出席し、「日パラオ農業協力に関する覚書」への署名式(オンライン)が行われた。同覚書において、両国はパラオ農業の生産力向上と持続性の実現等について協力することが定められた。