報道発表

高村外務大臣とアブダッラー・パレスチナ自治政府計画庁長官の会談

平成20年7月2日

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  高村外務大臣は、7月2日(水曜日)14時00分から約35分間、大臣接見室において、「平和と繁栄の回廊」構想第3回4者協議閣僚級会合出席のため訪日しているアブダッラー・パレスチナ自治政府計画庁長官兼労働庁長官と会談を行ったところ、概要以下のとおり。

  1. 冒頭、高村大臣より、アッバース大統領を中心に、パレスチナ自治政府が一丸となって中東和平実現に向けて努力されていることを高く評価、我が国としても、イスラエルと共存共栄するパレスチナ国家の樹立が中東和平実現への唯一の方策との認識の下、引き続き積極的に貢献していきたい旨述べた。これに対し、アブダッラー長官より、今後とも日本の役割に期待する、「平和と繁栄の回廊」構想は我々にとって重要なプロジェクトであり、今回の会合はこのプロジェクトの推進にとって基礎となるもの、日本は、パレスチナ人の生活改善や統治機構の強化に協力してきてくれている、これまでの日本の支援に感謝する旨発言があった。
  2. 「平和と繁栄の回廊」構想については、高村大臣より、農産業団地へのパレスチナ民間企業の誘致が必要不可欠であり、アブダッラー長官の更なる指導力と尽力を要請し、我が国としても、可能な限り09年の早期に、ODAも活用して団地建設関連プロジェクトを開始したい旨述べた。これに対し、アブダッラー計画庁長官より、「平和と繁栄の回廊」構想は、民間企業を誘致することが必要であり、十分で安価な土地、市場へのアクセスといった条件が確保される必要がある、そのためにはイスラエルの協力が不可欠、日本の支援も必要との発言があった。
  3. イスラエル・パレスチナ情勢について、高村大臣より、イスラエル・パレスチナ双方共に交渉を粘り強く継続することを強く期待、入植地活動の停止や暴力の停止を含め、双方がロードマップの措置を実施することが重要、我が国は、イスラエルに対して、入植地の住宅建設の凍結を累次申し入れている旨述べた。また、イスラエルとハマスとの間で、ガザにおける停戦が継続していることを歓迎しており、全ての当事者が合意を遵守し、あらゆる暴力行為を自制することを期待する、同時に、ガザのパレスチナ人の苦境を緩和することが重要であり、我が国は、5月末に1200万ドルの人道支援の実施を決定した旨述べた。これに対し、アブダッラー計画庁長官より、入植地における住宅建設問題への日本の立場を高く評価する、イスラエルの入植活動はアナポリスでの合意に反し、和平交渉に否定的な影響を与えている旨発言した。
  4. パレスチナ支援について、高村大臣は、和平プロセスの進展を支えるには、現場での具体的な生活状況改善が重要、パレスチナ自治政府への治安権限の委譲が着実に進んでいることを高く評価、我が国としても、昨年12月にプレッジした当面1.5億ドルの支援を着実に実施していくことで支援していきたい旨述べた。これに対しアブダッラー計画庁長官は、我が国のパレスチナ支援に謝意を表明した。また、同長官より、ガザ情勢に関して、パレスチナの伝統である民主主義を回復し、ガザ地区を含むパレスチナ全土が、一つの政府・治安機構の下におかれることが重要である旨発言した。

(参考) 「平和と繁栄の回廊」構想

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