
第8回人権理事会における「ハンセン病差別撤廃決議」の採択について
平成20年6月18日
- 18日(現地時間)、第8回人権理事会(於:ジュネーブ)において、我が国が主提案国として提出した「ハンセン病差別撤廃決議」が全会一致で採択された。なお、58か国が本決議の共同提案国(内31か国が人権理事会理事国)となった。
- 本件決議は、全世界でハンセン病に関連する差別問題に苦しむ人々の人権を守るため、人権理事会においてハンセン病差別問題を議論し、差別を撲滅するための実効的な方法等を検討することを目的としている。
- 本決議の主な内容は以下のとおり。
(1)ハンセン病差別問題は重大な人権侵害問題と各国が認識すること。
(2)各国政府がハンセン病に関する差別を根絶する措置をとることを要請。
(3)国連人権高等弁務官事務所によるハンセン病差別問題に関する人権教育・啓発活動を要請。
(4)国連人権高等弁務官事務所に各国のハンセン病差別問題に関する取り組みを調査し、情報を収集することを要請。
(5)人権理事会諮問委員会に2009年9月までにハンセン病差別を終わらせるためのガイドラインの作成を委託。
- 我が国は、この決議の主提案国として、本決議のフォローアップに尽力すると共に、引き続きハンセン病差別問題に対して国際的なイニシアティブをとって取り組んでいく所存である。
(参考) ハンセン病差別問題
- ハンセン病は、化学療法を中心とした治療により、現代では治療可能な疾病であり、現在、WHOが主体となってハンセン病の撲滅に向けて国際的な取組が進められ、新規患者は激減している状況にある。その一方で、ハンセン病に関する誤った認識や誤解に基づく偏見・差別により、ハンセン病患者・回復者及びその家族に対する深刻な人権侵害が、今なお世界各地で存在している状況である。
- 日本政府は、過去のハンセン病政策の歴史を踏まえ、ハンセン病患者・回復者に対する偏見・差別の解消に向けた取組を実施している。その一環として、昨年9月21日、WHOハンセン病撲滅大使としても本問題につき高い知識と知名度を有している日本財団会長笹川陽平氏に「ハンセン病人権啓発大使」を委嘱した。
- なお、ハンセン病問題については、国連人権小委員会において過去3度(2004年~2006年)決議が採択されており、今回の人権理事会決議は過去の人権小委員会決議をフォローアップするものでもある。