(1)近年、EUは、ITAにおいてWTO協定(1994年のガット)に規定する関税を課さないこととされている製品について、技術進歩による多機能化・高機能化を契機に、ITA対象外の製品であるとして、高関税を課す動きを見せている。
(2)我が国及び米国は、特にデジタル複合機(税率6%)、パソコン用液晶モニター(同14%)及びセット・トップ・ボックス(同13.9%)の3品目について、高関税が賦課されていることを問題視している。
(3)我が国は、EUによる恣意的な取扱い及び課税は、WTO協定に整合していないと考えている。そのため、我が国政府はEUに対し、米国政府と共同して、WTO紛争解決了解等に基づく協議を要請することとした。
(参考)
1.ITA(Information Technology Agreement)
1996年12月、WTOシンガポール閣僚会議にて作成。参加国は、情報技術関連機器、同部品等の関税を撤廃することを約束。現在、参加国はEU加盟国27カ国を含む71カ国。ここでの約束はWTO参加各国の譲許表に反映されている。
2.セット・トップ・ボックス
ケーブルテレビの放送信号や電話回線等をテレビに接続し、テレビで視聴可能な信号に変換する装置。
3.個別品目における問題
(1)デジタル複合機
EUは、一定以上のコピー機能を有したデジタル複合機をコピー機(ITA対象外)であるとして、課税。
(2)パソコン用液晶モニター
EUは、DVI端子を有したパソコン用液晶モニターをビデオモニター(ITA対象外)に分類し、課税。
※DVI端子:パソコンのデジタル信号を受信するための端子。EU市場で販売されるパソコン用液晶モニターの9割以上に標準装備。ごく一部のDVDプレーヤーと直接接続が可能。
(3)セット・トップ・ボックス
EUは、録画機能付セット・トップ・ボックスをビデオ機器(ITA対象外)であるとして、課税。