(1)本計画の内容
ベナン保健省がラギューン母子病院をベナンにおける最上医療機関の一つとしての役割を担う医療機関として機能回復させることで衛生的な医療サービスの提供を図るため、以下の事業を行うための資金を供与する。
・小児外来部門及び新生児病棟を含む新病棟、分娩棟等3施設の新築。
・ベッド、分娩台、手術台、保育器、超音波診察装置、X線撮影装置等の機材の整備。
(2)本計画の必要性
・ベナンの乳幼児死亡率は出生1000件あたり90人(2004年)、妊産婦死亡率は出生10万件あたり850人(2003年)と高く、医療保健分野における一層の改善が必要な状況にある。
・ラギューン母子病院は、1958年に産院として開設されて以来、現在に至るまでベナンにおける最大かつ最も歴史がある母子病院であり、近年では同病院は母子及び小児医療に従事する医師、助産婦、看護士、臨床検査技師等を対象とした教育病院としての役割を果たしている。
・同病院の既存施設の大半は建設された当時のままであり、特に老朽化や狭小化が著しいために機能が低下し、病棟では保健医療活動に著しく支障をきたしている。入院患者の増加によるベッドも不足しており、臨時に通路や廊下に仕切を設けて患者を収容することが恒常化しており、患者への適切な医療活動が十分行えない状況にあるが、財政難によりその改善が困難な状況にある。
(3)本計画の効果
・本計画の実施により、ラギューン母子病院の施設及び機材が強化され、適正かつ衛生的な医療活動を行うことが可能となる。レファレル患者が現在約2,600件/年から約3,400件/年に増加することが期待される。
・本計画の実施により、医療サービスを提供する環境が改善され、小児外来患者数が現在約4,700件/年から約5,800件/年に、分娩件数が現在約6,500件/年から約8,300件/年に、手術件数が現在約3,800件/年から約4,900件/年に増加することが期待される。
・本計画の実施により、ベナン保健省が目指している同国における母子保健分野での最上位医療機関としての役割を担うための基盤が整備されるとともに、将来的には、同国の妊産婦死亡率や乳幼児死亡率の低下に寄与することが期待される。
(参考)
ベナン共和国は西アフリカに位置し、面積約11万平方キロメートル、総人口が840万人(平成18年)で、人口一人GDP約591米ドル(平成18年)である。