報道発表

人間の安全保障基金を通じたパキスタンでの事業に対する支援

平成25年1月9日
  1.  今般,国際連合から我が国に対し,パキスタンで実施される「シンド州における脆弱な小作人コミュニティの生活改善及び保護並びに持続可能な能力強化」事業に対して,人間の安全保障基金から,約483万ドル(約3億9125万円)の支援を行うことが決定された旨通報がありました。本基金は,人間の安全保障の推進を目的として,1999年に我が国が主導して国連に設立されたものです。
  2.  この事業は,国連食糧農業機関(FAO),国際労働機関(ILO)及び国連女性機関(UN WOMEN)が,シンド州において脆弱な人々の人間の安全保障を確保するための支援を行うものです。主な内容は以下のとおりです。

    (1) 効率的な水利用のための技術支援や農業以外に所得を得る機会の提供,マイクロファイナンスや社会保障へのアクセスを改善することにより,農村コミュニティの生計や経済的安全保障を向上
    (2) 農業生産の質と量を向上させるため,小作人への農業技術支援を実施
    (3) 土地所有者と小作人が合意できる土地所有に関する地図の作成や,土地利用契約の履行の透明性向上により,小作人の土地利用の保障を改善するとともに,災害への強靱性も強化

  3.  この事業への支援が実施されることにより,脆弱な地位に置かれた個人の人間の安全保障の推進が期待されます。

(参考1)人間の安全保障基金
 人間の安全保障の実践のため,我が国のイニシアティブにより1999年に国連に設置された信託基金。人間の安全保障基金に対し,我が国は現在までに総額約421億円(約3億8,020万ドル)を拠出している。これまでも,この基金を通じ人間の生存,生活,尊厳に対する多様な脅威に対して人間の安全保障の視点から取り組む国連関係国際機関の約210のプロジェクトを支援してきている。

(参考2)人間の安全保障に関する国連総会決議
 2012年9月10日,第66回国連総会において,我が国の主導により「人間の安全保障の共通理解」に関する国連総会決議が採択された。
 本決議は,国連加盟国間の長年にわたる議論を経て醸成された人間の安全保障に関する共通理解を確認するものであり,人間の安全保障の議論における大きな前進が諮られた。また,本決議には人間の安全保障基金のこれまでの貢献を認識し,加盟国に同基金への自発的な拠出の検討を要請するパラグラフも含まれている。
 なお,本決議は,人間の安全保障に関する二つ目の総会決議である。

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