
人間の安全保障基金を通じたニカラグアでの事業に対する支援
平成24年7月13日
- 7月6日(金曜日),国際連合から我が国に対し,人間の安全保障の推進を目的として,ニカラグアで実施される「アルト・ワンギー・ボカイにおける人々への脅威の減少:総合的かつ分野横断的な,異文化に配慮した人間の安全保障」事業に対し,我が国が主導して設置された人間の安全保障基金を通じて,369万7282ドル(約2億9948万円)の支援を行うことが決定された旨通報がありました。
- アルト・ワンギー・ボカイ地域では,政治的な,また異文化間の問題が以前からあり,近年では土地所有権や環境保護をめぐりメスティーソ(混血)の農家と先住民との対立が顕著となっています。これらの原因により,女性や青少年,子どもに対する暴力を受けていることに加え,先住民コミュニティへの差別や不当な待遇といった問題が見られます。
- この事業は,国連人口基金(UNFPA),国連農業機関(FAO),国際移住機関(IOM),国連児童基金(UNICEF)及び国連開発計画(UNDP)が,保健などの基礎的なサービスの提供や人々の能力強化等の支援を行うものです。主な内容は以下のとおりです。
(1)経済的自立と持続可能性の実現のための生計手段の確保
(2)社会不安の軽減及び暴力による被害者の保護を目的とした,地域,制度,政治的なレベルでの包括的なケアや保護のシステムの構築
(3)基礎的な医療,特にリプロダクティブ・ヘルスの質の向上
(4)異文化間の交流の強化と民族間の関係改善
(5)環境教育を通じた環境問題の軽減
(6)地域の行政機構の強化,エンパワーメントとアドボカシーを通じた人権の保護と促進
(7)家庭やコミュニティと連携した公的教育の質の改善
(8)人間の安全保障への理解の促進
- この事業への支援が実施されることにより,脆弱な地位に置かれた個人の人間の安全保障の推進が期待されます。
(参考)人間の安全保障基金とは,人間の安全保障の実践のため,我が国のイニシアティブにより1999年に国連に設置された信託基金。人間の安全保障基金に対し,我が国は現在までに総額約413億円(約3億7,007万ドル)を拠出している。これまでも,この基金を通じ人間の生存,生活,尊厳に対する多様な脅威に対して人間の安全保障の視点から取り組む国連関係国際機関の210以上のプロジェクトを支援してきている。