
人間の安全保障基金を通じたセルビアでの事業に対する支援
平成24年10月3日
- 今般,国際連合から我が国に対し,セルビアで実施される「セルビア南西部の脆弱なコミュニティにおける人間の安全保障の促進」事業に対して,国連人間の安全保障基金から約294万ドル(約2億3813万円)の支援を行うことが決定された旨通報がありました。本基金は,人間の安全保障の推進を目的として,1999年に我が国が主導して国連に設置されたものです。
- この事業は,国連開発計画(UNDP),国連プロジェクト・サービス(UNOPS),世界保健機構(WHO)及び国連人口基金(UNFPA)が,セルビア南西部において,国内避難民,難民及び帰還民を始めとする脆弱な立場におかれた人々の人間の安全保障を確保するための支援を行うものです。主な内容は以下のとおりです。
(1)廃棄物処理リサイクル・センターの設立を通じ,所得創出と雇用を確保
(2)民族間の対話を促し,公民権を剥奪された人々の人権を保障し,人間としての可能性を開花できるよう,彼らの置かれた立場を改善
(3)法的文書を持たない住民に対する法的支援を通じ,保健や教育といった公的サービスへのアクセスを改善
(4)コミュニティにおける人間の安全保障の普及と適用により,民族間の理解や地域の一体性を促進
- この事業への支援が実施されることにより,脆弱な地位に置かれた住民の人間の安全保障の推進が期待されます。
(参考1)人間の安全保障基金とは,人間の安全保障の実践のため,我が国のイニシアティブにより1999年に国連に設置された信託基金。人間の安全保障基金に対し,我が国は現在までに総額約413億円(約3億7,007万ドル)を拠出している。これまでも,この基金を通じ人間の生存,生活,尊厳に対する多様な脅威に対して人間の安全保障の視点から取り組む国連関係国際機関の約210のプロジェクトを支援してきている。
(参考2)人間の安全保障に関する国連総会決議
2012年9月10日,第66回国連総会において,我が国の主導により「人間の安全保障の共通理解」に関する国連総会決議が採択された。
本決議は,国連加盟国間の長年にわたる議論を経て醸成された人間の安全保障に関する共通理解を確認するものであり,人間の安全保障の議論における大きな前進が図られた。なお,本決議は,人間の安全保障に関する二つ目の総会決議である。