報道発表

模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)構想(第10回関係国会合概要)

平成22年8月21日
  1. 8月16日(月曜日)から20日(金曜日)(現地時間)に,ACTA交渉の第10回関係国会合が,米国の主催によりワシントンで開催されました。我が国をはじめ,米国,EU,スイス,カナダ,韓国,メキシコ,シンガポール,豪州,ニュージーランド及びモロッコが参加しました。米国からは、カーク通商代表及びサピロ次席通商代表が出席しました。
  2. 関係国は,前回会合でなされた進展を基に,前文,冒頭規定,一般的義務,民事上の執行,国境措置,刑事上の執行,デジタル環境における執行措置,国際協力、執行実務及び制度上の措置,最終規定等のすべての条文案について議論を進めました。
  3. 今次会合中,利害関係者,NGO代表,ビジネス界リーダー及びACTA交渉参加者との非公式会合が累次開催されました。米国がこれらの会合を開催したのは,利害関係を有する者と政府職員がACTAに関する問題について交流し,議論する機会を提供するためでした。
  4. 関係国は,正当な貿易と世界経済の持続可能な発展を阻害する模倣品・海賊版の拡散に効果的に対処する各関係国の取組のための国際的な枠組みを構築する国際約束である,ACTAの重要性を強調しました。
  5. ACTAは,既存の知的財産権を執行するための効果的な基準を構築することを目指すものであり,新しい知的財産権を加えたり,既存の知的財産権の範囲を拡大したり,縮小したりするものではありません。
  6. ACTAは,締約国が市民の基本的権利と自由を尊重することに干渉するものではなく,WTO知的財産権の貿易関連の側面に関する(TRIPS)協定及びTRIPS協定と公衆衛生に関する宣言と整合的です。ACTA交渉官は,ACTAが合法的なジェネリック医薬品の国境を越える通過を阻害するものではないことを再確認し,特許を国境措置節の対象としないことで一致しました。ACTAは,国境措置に権限ある当局に対して,侵害品検査のために旅行者の荷物や個人の電子機器を検査することを義務づけるものではありません。
  7. 関係国は,2010年9月に次回会合を我が国の主催で開催することで一致しました。関係国は,同会合において残された実質的な問題を解決することを誓い,署名する決定の前に条文全文を公表することで一致しました。
  8. 我が国としては,ACTAの早期実現を目指し,今後も関係国との議論を積極的にリードしていく所存です。

(参考)

  1. 我が国は,2005年のG8グレンイーグルズ・サミットにおいて,模倣品・海賊版防止のための法的枠組策定の必要性を提唱して以来,知的財産権の保護に関心の高い国々とともに,ACTA構想の実現に向けて積極的に議論を行ってきた。
  2. 2008年6月から,条文案に関する交渉を開始した。
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