
模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)構想(第9回関係国会合概要)
平成22年7月2日
- 6月28日(月曜日)から7月1日(木曜日)(現地時間)に,ACTA交渉の第9回関係国会合が,スイスの主催によりルツェルンで開催されました。我が国をはじめ,米国,EU,スイス,カナダ,韓国,メキシコ,シンガポール,豪州,ニュージーランド及びモロッコが参加しました。
- 交渉初日に,透明性の観点から,スイス政府主催により,関係国交渉担当者と交渉に関心を持つ市民社会の関係者との会合が開催され,意見交換が行われました。
- 関係国は,前回会合後に公開された条文案を基に,建設的な議論を続け,冒頭規定,一般的義務,民事上の執行,国境措置,刑事上の執行,デジタル環境における執行措置,国際協力、制度上の措置等の分野において,コンセンサス形成に進展がみられました。関係国は,ACTAの対象となる知的財産権の範囲についても議論を行い,本件に関係する各関係国の考え方についての理解を深めました。
- 関係国は,正当な貿易と世界経済の持続可能な発展を阻害する模倣品・海賊版の拡散に効果的に対処する各関係国の取組のための国際的な枠組みを構築する国際約束である,ACTAの重要性を強調しました。
- ACTAは既存の知的財産権を執行するための効果的な基準を構築することを目指すものであり,新しい知的財産権を加えたり,既存の知的財産権の範囲を拡大したり,縮小したりするものではありません。
- ACTAは,締約国が市民の基本的権利と自由を尊重することに干渉するものではなく,WTO知的財産権の貿易関連の側面に関する(TRIPS)協定及び,TRIPS協定と公衆衛生に関する宣言と整合的です。関係国は,ACTAが合法的なジェネリック医薬品の国境を越える通過を阻害するものではないことを再確認し,特許を国境措置節の対象としないことで一致しました。ACTAは,国境措置に権限ある当局に対して,侵害品検査のために旅行者の荷物や個人の電子機器を検査することを義務づけるものではありません。
- 関係国は,次回会合を米国の主催で開催することになりました。関係国は,2010年中の可能な限り早期の実現を目指し議論を続けることを再確認しました。
- 我が国としては,ACTAの早期実現を目指し,今後も関係国との議論を積極的にリードしていく所存です。
(参考)
- 我が国は,2005年のG8グレンイーグルズ・サミットにおいて,模倣品・海賊版防止のための法的枠組策定の必要性を提唱して以来,知的財産権の保護に関心の高い国々とともに,ACTA構想の実現に向けて積極的に議論を行ってきた。
- 2008年6月から,条文案に関する交渉を開始した。