
日・チリ外相会談
平成22年4月26日
本26日(月曜日)19時10分より約30分間,岡田克也外務大臣は,外務省飯倉公館において,訪日中のモレノ・チリ外務大臣と,日チリ外相会談を行い,その後21時まで夕食を挟みつつ意見交換を行ったところ,概要以下のとおりです。
- 二国間関係全般
冒頭,岡田大臣より,モレノ外相の就任に祝意を表した上で,就任後初の二国間訪問国として日本が選ばれたことに謝意を表しました。また,大地震による甚大な被害に改めてお見舞いの意を表明し,今後の復興に向けても引き続き最大限協力していきたいと述べました。これに対し,モレノ外相より,今次訪日受入れに謝意を表した上で,地震災害に対し,日本政府のみならず日本企業及び国民からも多大な支援をいただいたことに感謝すると述べました。また,自分(モレノ外相)の最初の二国間訪問先として日本を選んだことは,チリが日本との関係を重視していることの証左であると述べるとともに,両国は地理的には離れているが,地震という共通点を有しており,早期警報等の震災対策を日本から学びたいと述べました。さらに,岡田大臣より,伝統的に良好な二国関係を一層拡大・強化したく,経済連携協定(EPA)を活用して,経済関係の強化を図るのみならず,科学技術や学術の分野での交流を含む幅広い成熟した協力関係を構築していきたいと述べました。
- 震災対策への支援
岡田大臣より,地震発生直後の緊急支援につき言及した上で,民間からも多くの支援が寄せられたが,これは日本国民のチリに対する連帯を示すものであると述べました。また,今後の復興に向けても,地震国としての知見と技術を活かして支援していきたいとして,具体的な協力として,仮設病院施設の設置を支援すべく鋭意調整中であるほか,医療施設・教育施設の復旧のための協力も行っていきたい旨表明しました。また,これらに加えて,建物の耐震化にかかる協力やデジタルテレビ放送日本方式のメリットを活用した災害警報に関する協力,さらに,防災教育や復興計画策定にかかる協力も検討していきたいと述べました。これに対し,モレノ外相より,岡田大臣が言及された協力分野は,まさしくチリが日本に期待している協力分野であり,震災対策にかかる日本の豊富な経験を踏まえて,協力を進めていきたいと述べました。
- 科学技術・学術交流
岡田大臣より,デジタルテレビ放送日本方式の採用は,両国間の経済・文化・科学技術分野での協力を一層強化する上でも重要な契機であるとして,実用化に向けて引き続き協力していきたいと述べました。また,再生可能エネルギー,先端医療や天文学など,幅広い分野で両国間の科学技術・学術協力を深めていきたく,チリは海外留学生の大幅増加を目指していると承知するところ,学生・若手研究者レベルの交流が進むことも期待したい旨述べました。これに対し,モレノ外務大臣より,チリ側としても日本との科学技術交流を強化したいとして,アタカマ砂漠での天文台設置にかかる日本の取組につき言及があったほか,チリからの留学生についても,日本の大学の質の高さを評価しており,多くのチリ人学生を派遣する観点から,英語で授業が受けられることが望ましいと述べました。
- 核軍縮・不拡散
岡田大臣より,まもなくNPT運用検討会議が始まるところ,決して簡単なことではないと思うが,是非合意に至ることができるようチリと協力したいと述べました。モレノ外相より,チリも同様の考えであるとして,先般の核セキュリティ・サミットへのチリの参加に言及するとともに,中南米においてはNPTに先駆けて非核兵器地帯条約(トラテロルコ条約)を結んでおり,こうした取組を世界に拡げるべく,各国に促していきたい旨述べました。両大臣は,核軍縮・不拡散問題への対応には多大な困難が伴うが,全ての国々が努力していくことではじめて前進するものであるという認識で一致しました。
- 気候変動
岡田大臣より,コペンハーゲン合意には一定の評価をしており,本年のCOP16の成功につなげていきたいと述べるとともに,チリがコペンハーゲン合意に賛同していることを評価した上で,是非他の中南米諸国にも賛同を呼びかけてほしい旨述べました。これに対し,モレノ外務大臣より,チリはコペンハーゲン合意に完全に合意しており,中南米諸国に対する働きかけについても協力していきたい旨述べました。
なお,外相会談終了後,「日チリ両外務大臣による共同プレス声明」が発出されました。
- 日チリ両外務大臣による共同プレス声明(平成22年4月26日)(日本語仮訳・英語版)