報道発表

模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)構想(第8回関係国会合概要)

平成22年4月16日
  1. 4月12日(月曜日)から16日(金曜日)(現地時間)に、ACTA交渉の第8回関係国会合が、ニュージーランドの主催によりウェリントンで開催されました。我が国をはじめ、米国、EU、スイス、カナダ、韓国、メキシコ、シンガポール、豪州、ニュージーランド及びモロッコが参加しました。ニュージーランドからはグローザー貿易大臣が出席しました。
  2. 関係国は建設的かつ精力的に議論を行い、各国の国内法制や運用について理解を深め、民事上の執行、国境措置、刑事上の執行及びデジタル環境における特別な措置について、隔たりを小さくすることに進展が得られました。また、関係国はACTAの対象となる知的財産権の範囲について建設的な議論を行いました。
  3. さらに、公表を通じて、公衆が条文案を利用可能なものになれば、最終的な合意に向けたプロセスが進展するとの一般的な理解と、今次会合が生み出したモメンタムに基づき、関係国は、本会合での議論の成果と実質的な進展を反映した統合条文案を現時点で公衆が利用可能なものとすることがふさわしいとの意見で一致しました。この条文案は4月21日(水曜日)に公開される予定です。関係国は、交渉の特別な状況において条文案を公表することに合意するとともに、貿易交渉における各参加国の立場を非公開とすることの重要性を再確認しました。
  4. ACTAは、市民の基本的な権利と自由を尊重する国の権利を妨げるものではなく、WTO知的所有権の貿易関連の側面に関する(TRIPS)協定に整合的であり、TRIPS協定と公衆衛生に関する宣言を尊重しています。知的財産侵害品を調査するため、旅行者の荷物を調べたり、個人の電子機器を調査することを税関当局に求めることをACTA関係国に義務付けるような提案はされていません。また、ACTAは、合法的なジェネリック医薬品の国境を越える通過を取り扱うものではありません。関係国は、インターネットの海賊版問題について効果的に対応することの重要性を認識していますが、インターネット上の著作権侵害に対して、「段階的対応」や「スリーストライク」(注)といった対策をとることを政府に求める提案はされていません。
  5. 次回会合は、2010年6月にスイスの主催により開催されることとなりました。関係国は2010年中の可能な限り早期の妥結を目指し議論を続けることを再確認しました。
  6. 我が国としては、ACTAの早期妥結を目指し、今後も関係国との議論を積極的にリードしていく所存です。

(参考)

  1. 我が国は、2005年のG8グレンイーグルズ・サミットにおいて、模倣品・海賊版防止のための法的枠組策定の必要性を提唱して以来、知的財産権の保護に関心の高い国々とともに、ACTA構想の実現に向けて積極的に議論を行ってきた。
  2. 2008年6月から、条文案に関する交渉を開始した。

(注) 3度目の違反で厳しく罰則を与える制度。

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