
中曽根外務大臣とパスカル・ラミーWTO事務局長との会談について
平成21年2月24日
- 2月24日(火曜日)、午後4時40分より約30分間、中曽根外務大臣は、我が国招待により来日中のパスカル・ラミー世界貿易機関(WTO)事務局長と会談を行いました(伊藤副大臣、西村大臣政務官同席)。
- 会談では、ラミー事務局長より、現下の厳しい経済情勢に対処するためには貿易の側面にも注意を払うべき、このため、WTOは、1)保護主義の台頭に対抗すべく、各国の動向をモニターし、2)ドーハ・ラウンド交渉の迅速な妥結に向けて努力し、3)途上国の貿易能力の向上に向けた「貿易のための援助」に取り組んでいると述べた上で、これら分野における我が国のこれまでの取り組みに評価が示されました。
- これに対して、中曽根大臣より、1)WTOの場で各国の保護主義的な貿易関連措置を監視していくことを支持していく、我が国も積極的にイニシアティブをとってきていること、2)ドーハ・ラウンド交渉に関しては、昨年12月のWTO閣僚会合は行われなかったが、今後、実務的な作業を着実に進捗させていくことが重要であり、日本としても交渉の早期妥結に向けて引き続き努力していくこと、及び、3)途上国を支援していく「貿易のための援助」につき、我が国が香港閣僚会議時に表明した「開発イニシアティブ」のコミットメントを着実に実行してきていることを説明しました。
(参考)
- ドーハ・ラウンド交渉は、2001年11月のドーハ・ラウンド立ち上げ後7年を経過し、交渉は8年目に。2008年7月の閣僚会合では、農業・非農産品のモダリティ(関税削減等の方式)合意に関して一時は急速に合意形成に向けた方向で協議が進んだが、一部論点で意見が対立し、決裂。
- 世界経済の減速が顕在化して以降、保護主義の台頭に抗するとの立場から、金融・世界経済に関する首脳会合(2008年11月15日)及びAPEC首脳会合(同年11月23日)において、WTO交渉の年内のモダリティ合意を目指すことで一致。
- しかしながら、主要国の立場に大きな歩み寄りが見られなかったことから、2008年12月12日、ラミー事務局長は、年内モダリティ合意のための閣僚会合開催は時期尚早との考えを表明、開催は見送りに。本年に入り、各分野で実務レベルの交渉が徐々に再開しつつあるところ。