人間の安全保障基金を通じたタイへの支援
平成21年10月13日
- 我が国政府及び国連は、10月13日(火曜日)、国連食糧農業機関(FAO)、国連工業開発機関(UNIDO)、国連人口基金(UNFPA)、国際移住機関(IOM)、国連開発計画(UNDP)、国連教育科学文化機関(UNESCO)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)及び世界保健機関(WHO)がタイで実施する「タイ・メーホンソーンにおける高地生活の総合的発展」プロジェクトに対し、人間の安全保障基金を通じて463万3,477.20ドル(約4億7,725万円)の支援を行うことを決定しました。
- メーホンソーンは、タイの北部に位置する地方の山岳地帯であり、ミャンマー連邦と国境を接しています。メーホンソーンの貧困率は34%であり、タイで最も貧しい地域の一つです。同地域の住民の半分以上が少数民族であり、公共サービスへのアクセスが限られています。また、同地域には主にミャンマーからの難民が大量に流入しており、同地域の社会開発や天然資源の確保を圧迫しています。本プロジェクトは、保護と能力強化を通じて、サービスが十分に行き届いていない同地域の社会的弱者の生活の質の向上及び貧困削減を目指します。主な活動は以下のとおりです。
(1)持続可能な総合的高地農業のために対象グループの能力強化を行い、所得創出活動に取り組みます。
(2)技術支援、訓練及び物資の供与を通じて、環境や天然資源の管理計画実施のための支援を行います。
(3)すべての人々、特に遠隔地に住んでいる少女や女性にフォーマル・ノンフォーマル教育を提供することで、就学率、出席率、修了率を向上させ、バイリンガル教育の導入など学校のカリキュラムや教材の改訂及び教師の能力強化を図ります。
(4)基礎的医療機材の提供、各家庭への訪問医療を含む移動式診療所を通じたアウトリーチ活動の促進、遠隔地のコミュニティの診療所における一次医療の提供、十分なサービスを受けていない住民に対する保健サービスの提供のための医療従事者派遣制度の強化を行います。
(5)学校菜園の拡張、給食プログラム及び子供の成長モニタリングを学校保健プログラムの中で実施すること通じて、子供の栄養状態を改善します。
- 本プロジェクトの実施により、生活の質の改善及び貧困削減を通じて、メーホンソーンにおける高地生活の総合的発展の促進が期待されます。
(参考) 人間の安全保障基金は、1999年3月に我が国の主導により国連に設置された信託基金であり、現在までに総額約390億円(約3億4,658万ドル)を拠出している。これまでも、この基金を通じ人間の生存、生活、尊厳に対する多様な脅威に対して人間の安全保障の視点から取り組む国連関係国際機関の190件以上のプロジェクトを支援してきている。