石原 伸幸
福井 康人
国際平和協力分野における日・EU協力 EU非加盟国によるESDPミッション要員派遣の意義
吉井 愛
OECD投資委員会の活動-FOIプロジェクトに焦点を当てて-
藤田 輔
杉原 大作
国際刑事裁判所(ICC)によるバシール・スーダン大統領の逮捕状の発付及び逮捕・引渡請求の送付に関する法的検討
村井 伸行
川崎 晴朗
ポーランドのNATO加盟への道:1989-1993(PDF)
石原 伸幸
本論は、現代のポーランド外交政策を読む鍵となる、NATO加盟国プロセスとその過程で表明された国家アイデンティティの成立を中心に、概ね1989年 9月から1993年10月までの4年間を扱う。これは主権を回復したポーランドが、明確な外交政策としてNATO加盟を掲げるまでの期間であり、主として 1)ポーランドがいつ頃から如何なる国家像を描いてNATO加盟を目指したか、2)ポーランドのNATO加盟プロセスに大きな影響を与えた当時の米欧関係におけるポーランドの位置とは如何なるものであったかについて論じる。
福井 康人
1974年及び1998年に核実験を実施し、NPTへの加入を拒否し続けているインドとの米国による民生原子力協力(米印合意)については、核不拡散上の懸念とともに国際社会から注視されていた一方で、エネルギー安全保障、環境保護等の観点から推進すべきであるとの相反する見解が表明され、各国政府、原子力産業界、NGOを含む関係者の間で大論争となったが、IAEA理事会及び原子力供給国グループ(NSG)において「インドの例外化」が承認された結果、最終的に米印合意は成立した。本稿においては、インドの核問題に密接に関連する核兵器不拡散条約(NPT)の第8回運用検討会議が2010年5月に開催されることもあり、この機会にインドの核兵器開発の歴史及び原子力事情、並びに主要核軍縮・不拡散条約に対するインドの立場を含む核政策等を検討した上で米印合意が核軍縮・核不拡散分野に与える影響につき考察を試みる。
国際平和協力分野における日・EU協力
EU非加盟国によるESDPミッション要員派遣の意義(PDF)
吉井 愛
本稿は国際社会の抱える最重要のアジェンダである「国際の平和と安全の維持」のために日本とEUが協力を深めつつ貢献する1つの方法として、ESDP文民ミッションへの邦人要員派遣を提案するものである。ESDPミッションへの要員派遣はこれまで既に多くのEU非加盟国によって実施されてきているところ、はじめに、国毎に異なる要員派遣の背景、動機や意義、そしてそこから得られたメリット考察する。次に、それを踏まえてESDPミッションに邦人派遣を行う意義を述べる。さらに、そのことが日本、EUそしてミッションのマンデートに鑑みて、つまりミッション受け入れ国にもたらされ得る潜在的メリットについても考察する。最後に、ESDPミッションへの邦人派遣を実現するために日本とEUが取るべき行動についても具体的に提示する。
OECD投資委員会の活動-FOIプロジェクトに焦点を当てて-(PDF)
藤田 輔
OECD(経済協力開発機構)投資委員会は、ルール構築の多国間協調・合意形成の場として、FOI(Freedom of Investment:投資の自由)、CSR(企業の社会的責任)の促進、国際投資協定のリサーチ、開発のための投資等の諸課題に取組んでいる。特に、FOIについては、それを維持・確保すべく、国家安全保障等を理由として投資規制を強化しようとする保護主義的な動きに対し、2006年以降、関係国間で協議が行われている。また、今般の金融危機で、保護主義的な圧力が高まっており、FOIの重要性がより強く認識されてきている。そこで、FOIプロジェクトのこれまでの成果として、2009年3月、OECD投資委員会において、「国際投資における信頼醸成の構築(Building Trust and Confidence in International Investment)」という報告書が採択された。さらに、UNCTAD(国連貿易開発会議)とWTO(世界貿易機関)とともに、OECDは各国の投資措置に関する分析に取り掛かり、その後、同年9月、「G20への報告書:貿易・投資措置(Report on G20:Trade and Investment Measures)」と題する報告書を完成させた。この報告書は、9月24日に開催されたG20のピッツバーグ・サミットで歓迎されていることから、OECD投資委員会には、各国の投資措置の現状についてピア・モニタリングを定期的に行うことで、FOIを世界に発信・普及していくという使命が引き続き求められていると言えよう。
本稿では、まず、最近のOECD投資委員会の活動を紹介する。そして、FOIプロジェクトに焦点を当てて、1)公の秩序及び国家安全保障、2)金融危機における保護主義、の2点の観点から講じられる投資措置の具体例(米国、我が国、フランス)を挙げて、そのOECD投資委員会の対応について分析を図っていく。これらを通じて、金融危機下において、FOIプロジェクトがいかなる役割を果たし、いかなる成果を挙げているかを明確にしていく。そして、FOIプロジェクトがOECDそのものの役割を我々に想起させるための触媒になることをも期待したい。
日・スイス経済連携協定投資章~既存協定との比較による一考察(PDF)
杉原 大作
本年9月に発効した日・スイス経済連携協定投資章は、日本が欧州先進国と初めて締結した自由化要素を含む投資協定である。今日、投資に関する国際間の法的枠組みは、二国間協定を中心として形成されてきている。今世紀に入り、我が国は、1990年代初めに北米自由貿易協定(NAFTA)で採用された自由化要素などを取り入れつつ、二国間の投資協定や投資章を含む経済連携協定の締結を推進してきた。一方、そのような、いわゆる米州型とは異なる投資協定の伝統を有するスイスとの交渉を通じて、我が国としては、これまで追求してきた自由化の価値に加えて、法的予見性や安定性を高めた条文を紡ぎ出すことに成功した。米州型や欧州型の投資協定の長所を生かしつつ、日本型ともいうべき投資協定のモデルを形成してきた背景について、既存の協定との比較による考察を試みた。
国際刑事裁判所(ICC)によるバシール・スーダン大統領の逮捕状の発付及び逮捕・引渡請求の送付に関する法的検討(PDF)
村井 伸行
2009年3月4日、国際刑事裁判所(ICC)予審裁判部は、バシール・スーダン大統領の逮捕状を発付するとともに、スーダン当局、すべてのICC規程締約国及びICC規程締約国ではない安保理理事国に対して同大統領の逮捕・引渡請求を送付することを決定した。しかし、この決定については、ICC規程の非締約国であるスーダンの現職大統領は慣習国際法上の逮捕及び刑事管轄権からの免除を享有しているため、ICCによる逮捕状の発付又は(及び)逮捕・引渡請求の送付はスーダン大統領の免除を侵害するのではないかという問題が生じうる。本稿は、慣習国際法上の現職大統領の免除を否定する根拠を検討することにより、どの範囲の国がいかなる法的根拠によりICCに対する協力義務を負うのかを明らかにする。
川崎 晴朗
1952年に設立された欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)の最高機関に対し、域外第三国は外交代表を派遣するようになったが、日本は8番目の第三国として、1954年10月20日、ベルギー駐箚の荒川昌二大使を最高機関に信任せしめた。同大使の資格は常任オブザーバーであったが、4代目の下田武三大使から資格は日本政府代表となった。1958年初頭、欧州経済共同体(EEC)及び欧州原子力共同体(ユーラトム)が発足したが、日本政府代表部はこれら二つの共同体にも信任された。
1967年7月、「併合条約」が効力を発生、欧州共同体(EC)委員会が誕生したが、日本はEC委員会の委員会を接受する4番目の第三国で、1974年7月6日、代表臨時代理が着任、東京に代表部を開設した。同年11月26日、Wolfgang Ernst 初代代表が信任された。
本稿は、欧州共同体(のち欧州連合=EU)に対する日本政府代表部及び日本に対するEC委員会(のち欧州委員会)の代表部のそれぞれにつき、その沿革を述べたものである。いずれの代表部も、年月の経過と共にステータスが向上して行った。欧州共同体に対する日本の代表部は当初在ベルギー大使館が兼ねていたが、1975年6月、専任の代表部が新設された。また、それまで在ベルギー大使が欧州共同体に対する日本政府代表を兼任していたが、1979年2月、専任の代表が任命された。
EC委員会の駐日代表にしても、当初は資格が“Head of Delegation”であったが、1987年5月に信任されたAndries Van Agt代表は大使のランクを与えられた。また、1990年7月31日、Jean-Pierre Leng大使は天皇陛下に信任状を捧呈した。これらは、両大使の後任者も踏襲している。
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