世界が報じた日本
海外主要メディアの日本関連報道
10月15日~10月22日
掲載日
20日付
紙面(国名)
執筆者・掲載欄・発信地
スティーヴン・ラトナー氏 寄稿
日本が他国同様に自国の硬直性に縛られていることは確かだ。一部の輸出企業が競争力を維持している一方で,国内経済は官僚機構と慣習,過剰な規制に縛られている。安倍総理は,医薬品のオンライン販売許可から託児所拡大による女性労働力の増加,農業の企業化など様々なミクロ経済的改革を約束している。しかし,現在まで,「第三の矢」と呼ばれる,構造改革で達成すべきことについて総理が作成した長いリストの中で詳細が発表されているものは実質的に全くなく,完了したものもない。過去に聖域への挑戦に失敗してきたことを考慮すると,日本が再び圧倒的な経済大国になる可能性は低い。しかし,強力な「第三の矢」は,少なくとも日本を舞台に復帰させ,他の先進諸国にとって重要な教訓を提供することを可能にするだろう。
掲載日
18日付
紙面(国名)
執筆者・掲載欄・発信地
マーティン・ファクラー東京支局長
安倍総理は17日,論争となっている東京の戦争神社(ママ)への参拝を求める支持者からの要請を拒否し,その代わりに神前に捧げる供え物を奉納した。これは,中国を含む近隣諸国の反発を避けるための明らかな試みである。同氏は総理就任後,一国の指導者として,域内の反発を煽ったり,中国に危険な修正主義者と見なされたりするような言動を慎重に回避してきた。安倍総理は,第二次世界大戦時において日本は侵略者ではなかったという確固たる信念を抱いていると専門家は述べている。総理のこの慎重さは,米国の圧力に対する反応なのかもしれない。米国は,アジア最大の同盟国である日本に対して,東シナ海の無人島群の領有権を巡りすでに緊張している中国との対立を激化させないよう警告している。17日に始まった秋季例大祭は,安倍総理にとって三度目の与党自民党内右派からの靖国神社参拝要請となった。参拝をする代わりに,総理は真(ま)榊(さかき)を内閣総理大臣として奉納したが,その費用は私費で賄われた。これは,総理の支持者たちをなだめる一方で,公式すぎる意思表示又は実際の参拝を避けるための試みと見られる。
掲載日
14日付
紙面(国名)
執筆者・掲載欄・発信地
社説
「原発ゼロ」。この呼びかけとともに,非常に人気のある小泉元総理が再び注目を浴びている。小泉氏の大胆で新しいこの姿勢は,同弟子である安倍総理に挑戦している。同総理の政策は可能なかぎり多数の原発再稼動を打ち出しており,原発の輸出さえ推進している。小泉氏は,原発推進は無定見で無責任であると見なしている。日本は小泉氏の発言を歓迎し,福島原発事故以来2年半行われていない原発の将来についての健全な議論を開始すべきだ。国会による独自調査は本格的な論戦にはつながらなかった。小泉氏の見解の変化は衝撃的であり,原発問題を巡り政治家らの間で大きな分裂が存在することを示す。日本が姿勢を変えることは,確実によいことだ。小泉氏は,自民党が原発ゼロ政策を発表すれば,「世界に例のない循環型社会を創ることに向かって,この国は結束できる。」とし,国民の雰囲気は一気に盛り上がるだろうという説得力のある主張を行っている。