記者会見
北村外務報道官会見記録
(令和7年11月19日(水曜日)15時45分 於:本省会見室)
冒頭発言
経済協力開発機構(OECD)次期事務次長の就任
【北村外務報道官】冒頭、私(外務報道官)から1点、OECD事務次長の就任についてご紹介したいと思います。
このたび経済協力開発機構(OECD)理事会において、正木靖駐インドネシア日本国大使がOECD事務次長に就任することが決定されたことを歓迎します。
OECDは、日本において最も信頼され、かつ権威のある国際機関の一つであり、同氏がこれまでの経歴を生かしつつ、OECDの活動拡充に尽力されることを期待します。
我が国は、今後ともOECDを力強く支援し、質の高いデータと分析によって国際社会の議論を主導するOECDとの協力を、一層強化・発展させていきます。
日中関係(日本産水産物の輸入停止)
【ブルームバーグ 野原記者】昨今続いている、日中関係の間で高まっている緊張感についてなんですけど、一部の報道ですと、中国は日本からの海産物の輸出、中国から見れば輸入なんですけど、そこを止めるとか、そういう発言が、報道が出ているんですが、その事実関係を。それから、昨日、金井局長、帰られたと思うんですけど、どういうふうにブリーフィングというか情報共有されていて、現状認識されているのかというところをお伺いできますでしょうか。よろしくお願いいたします。
【北村外務報道官】まず、前段でございますけれども、中国政府が日本産水産物の輸入を停止するということを日本政府に伝えたとの報道があること、このこと自体は承知しております。
この日本産水産物につきましては、今月5日に、中国による輸入再開が発表されました。そのあと第1便となります輸出が実施されたことを受け、現在、中国側と技術的なやり取りを行ってきているところです。
その逐一を明らかにすることは差し控えたいと思いますけれども、ご指摘の内容を中国政府から連絡を受けたという事実はございません。
いずれにしましても、中国による日本産水産物の輸入規制につきましては、昨年9月に、日中両政府で発表いたしました「日中間の共有された認識」、これをしっかり、実施していくことが何よりも重要であると考えておりまして、引き続き、中国側に対し、現在申請中の輸出関連施設の速やかな再登録、そうしたものを含む、輸出の円滑化を働きかけていきたいと思いますし、残された10都県産の水産物の輸入規制の撤廃等も強く求めてまいります。
後段につきましては、すでに、官房長官からも発表されておりますけれども、昨日、日中アジア局長協議が行われたところでございます。そこで、中国側からは中国側の立場について説明があります。日本側からアジア大洋州局長が、それについて逐次、反論を行っています。その詳細については、外交上のやりとりでございますので、この場でご紹介をすることは差し控えたいと思いますけれども、すでに要路を含む関係のところにはきちんと報告がなされているところでございます。
日中関係(国連総会における中国側の発言)
【NHK 関口記者】今の日中関係に関連してお伺いします。中国の国連大使がですね、国連総会の会合で高市総理大臣のいわゆる台湾有事をめぐる国会答弁を非難してですね、日本について安全保障理事会の常任理事国入りを求める資格はない、などと主張しました。このことについての受け止めをお聞かせください。
【北村外務報道官】我が国は、国際社会の、国連の責任ある加盟国として、国際の平和と安全の実現に積極的に貢献していくという立場でございます。こうした立場から、これまで、安保理の非常任理事国を12回務めるなど、国際社会が抱える諸問題につきまして、長年にわたり、取り組んできているところでございます。
こうした立場に基づきまして、今、御指摘の、国連総会における中国国連大使による発言、これに対しまして、我が国は会合の場で、答弁権を行使し、以上のことを含めて適切に反論を行ったところでございます。
日韓関係(山口県宇部市の長生炭鉱)
【NHK 関口記者】別件で、山口県宇部市の長生炭鉱に関連してお聞きします。2004年12月の日韓首脳会談で、韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が戦時中に徴用されて死亡した朝鮮半島出身者の遺骨の所在確認、返還の希望を表明しまして、小泉純一郎総理が、何ができるか真剣に検討するという旨応答しています。ここでの戦時中に徴用されて死亡した朝鮮半島出身者なんですけども、1942年2月に起きた山口県宇部市の長生炭鉱の事故で亡くなった朝鮮半島出身者も含まれますでしょうか。含まれないのであれば、その理由も含めてお聞かせください。
【北村外務報道官】山口県の長生炭鉱におきまして、今年8月に一部の遺骨が発見されたと承知しております。
本件につきましては、これまで、韓国政府との意思疎通を行いながら、厚生労働省を含む関係省庁とも、連携して取り組んできているところでございます。
ご質問につきましては、従来から日本政府が述べてきておりますとおり、旧朝鮮半島出身労働者の朝鮮半島から内地への当時の移入の経緯については様々でございまして、一概に申し上げることは困難であると考えております。これは長生炭鉱での事故で亡くなられた朝鮮半島出身者についても同じです。
【NHK 関口記者】今のお答えに関連しまして、韓国政府からは、骨の身元特定に向けてDNA鑑定などの協力の申し出、これはあったのでしょうか。すみません、そこも重ねてお願いします。
【北村外務報道官】繰り返しになって恐縮でございます。長生炭鉱で発見されました、一部遺骨に対する対応につきましては、韓国政府との間で様々な意思疎通を行ってきているところです。
私が承知している限り、昨日、韓国の方からプレスリリースが出され、行政安全部を含む一行が明日にも日本にいらっしゃるということは承知しておりますけれども、それ以上につきましては、外交上のやり取りでございますので、その詳細については回答を差し控えさせていただきたいと思います。
日中関係(今後の見通し)
【ブルームバーグ 野原記者】追加でよろしくお願いします。先ほど、金井局長からの報告など、外交上のやり取りなのでコメントを控えるということだったんですけど、今後なんですけど、さらに局長より上のですね、レベルの方を中国に派遣して事態の沈静化を図る予定などがあるのか、そういったところ、今後の外務省としての、これを受けての取組みというんですかね、どういうふうにして計画されているのかってところ、お伺いできますでしょうか。よろしくお願いします。
【北村外務報道官】現時点について決まっていることはございません。また今後の対応について予断することは差し控えたいと思いますが、これも繰り返し、これまで申し上げておりますとおり、日中間で様々な対話を行うことについては、日本側はオープンでございます。

