記者会見

岩屋外務大臣会見記録

(令和7年7月15日(火曜日)13時04分 於:本省会見室)

(動画)岩屋外務大臣会見の様子

冒頭発言

(1)日・モーリシャス外相会談

【岩屋外務大臣】冒頭、私(岩屋大臣)から二つ御報告がございます。
 一つは、日・モーリシャス外相会談についてです。
 7月13日から16日、大阪・関西万博出席のために、ラムフル・モーリシャス外務・地域統合・国際貿易大臣が訪日中です。私(岩屋大臣)は、本日午後、この後、外相会談を行う予定でございます。
 インド洋の要衝に位置するモーリシャスは、FOIP、「自由で開かれたインド太平洋」推進の重要なパートナーでございます。会談を通じて、8月のTICAD 9も見据えて、二国間関係及び地域・国際場裡での連携強化を確認したいと思います。

(2)フェンタニル問題

【岩屋外務大臣】次に、フェンタニルの問題についてです。
 本日の厚生労働大臣の会見で、合成麻薬のフェンタニルに対する取組について発言があったと承知しております。
 フェンタニルを含む麻薬の取締りにおきましては、麻薬取締部などの日本の関係当局が、米国を含む各国の取締当局と以前から緊密に連携しているものと承知しております。
 その上で、外務省としても、米国を始めとする関係国や、国連薬物・犯罪事務所(UNODC)といった国際機関と緊密に連携して、世界各地におけるフェンタニルを含む違法薬物の根絶や製造・流通ネットワークの壊滅に向けて、積極的に取り組んでいるところです。
 また、国内におきましても、厚生労働省、財務省の税関、警察庁といった関係省庁と緊密に連携して対応してきており、例えば、日本の税関において、フェンタニルの密輸出入の摘発は、過去6年間ないと承知しております。
 引き続き、外務省として、許可を得ないフェンタニルの製造、販売、輸出入などに対して、厳しい対応を取るべく、米国を始めとする関係国や国連薬物・犯罪事務所(UNODC)といった国際機関及び関係省庁と、緊密に協力していく考えであります。
 冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。

「外国人との秩序ある共生社会推進室」の設置

【共同通信 阪口記者】本日官邸で開催されました外国人施策に対する会議体についてお伺いします。在留邦人対策事務局が本日設置されましたけれども、改めて、外務省として、どのように取り組んでいく考えなのか、人口減少が進む日本において、外国人との共生や多様性の重要性について、どのような考えをお持ちになっているのかお尋ねします。併せて、参院選で、外国人であったりマイノリティに対する政策・規制強化ということを訴える政党も多数あるというふうに見られてますけれども、大臣御自身、そういった主張について、どのような御見解をお持ちなのかどうか、伺えますでしょうか、よろしくお願いいたします。

【岩屋外務大臣】まず、本日、内閣官房に、「外国人との秩序ある共生社会推進室」が設置されました。外務省からも、担当局長等が同室の一員として、関連の取組に参画していくこととしております。
 本日の発足式における石破総理からの訓示にもありますように、少子高齢化や人口減少が進む我が国が、今後、成長型経済への移行を確実なものとするためには、一定の範囲での外国人労働者の受入れや、インバウンド消費の拡大などによって、海外の活力を取り込んでいくことが重要であると考えております。
 同時に、国民の安全・安心の確保は、経済成長の不可欠の前提でございますので、ルールを守らない方々への厳格な対応や、外国人をめぐる現下の情勢に十分に対応できていない制度や施策の見直しは、政府として取り組むべき重要な課題であるとも考えております。
 外務省としても、日本人と外国人が互いを尊重し、安全・安心に暮らせる外国人との秩序ある共生社会の実現に向けて、関係省庁とも連携しつつ、積極的な役割を果たしていきたいと思います。
 なお、参議院選挙で、いろいろな議論がなされておりますけれども、私(岩屋大臣)は、基本的には、日本は、世界に開かれた国でなければならないと考えておりまして、いたずらに外国人への差別や分断を煽るような言説はいかがなものかと考えております。
 あくまでも、秩序ある共生社会を作っていくことが大切だと思っておりまして、本日設置された共生社会推進室を中心に、そのための施策をしっかりと作って実行していきたいと、外務省もそのためにしっかりと努力していきたいと考えております。

AIを使った工作活動(ルビオ米国国務長官の偽音声)

【読売新聞 上村記者】AIを使った工作活動についてお伺いします。米国の複数のメディアが、ルビオ国務長官の偽の音声が作成されて、外国の外務大臣の3人を含む複数人とのやり取りが行われていたと報道して、米国政府も一部事実関係を認めていますけれども、岩屋大臣御自身で、こうしたことがあったのかということと、こうした工作活動に対して、外務省としてとっている対策についても併せてお聞かせください。

【岩屋外務大臣】私(岩屋大臣)にはないですね、まだ。まだというのもおかしいですけれども。御指摘の報道は承知しておりますが、私(岩屋大臣)に対してあったわけではございません。
 外務省としては、秘密保全に関する規則、それから「外務省サイバーセキュリティポリシー」に則り、情報保全を徹底しているところでございます。特に、外相間の連絡等については、詳細については申し上げませんけれども、そこは、極めて厳格な環境下で行っております。したがって、今般のような、今おっしゃったような事案のような、偽計工作といいますか、そういうものに対する対策は然るべく取られていると考えております。
 また、外務省全体としても、従来から、情報保全分野における訓練や研修、また注意喚起を行うなどして、所要の対策を不断に行っておりますが、ただ、こういう時代ですし、AIを使えばどんな映像もできてしまう時代ですので、そこは従来以上にしっかりと対策を講じていきたいと考えております。

万博外交

【パン・オリエントニュース アズハリ記者】(以下は英語にて発言)
 日本は、ここ数か月、特に万博の開催に伴い、外交の世界的な拠点となっています。ほぼ毎日、世界中から首脳やトップの意思決定者が日本を訪問しています。東京と大阪は、さながら第二の国連のようです。そこでお伺いしますが、これらの外交活動は、どのように、国際的な、特に中東地域における日本の影響力の拡大につながっていくのでしょうか。

【岩屋外務大臣】おっしゃったように、万博外交を活発に展開しております。大阪・関西万博は、開幕から3か月が経過しまして、折り返し地点を迎えております。連日、盛況であると承知しておりまして、海外からも、各国の元首・首脳級や閣僚を含めて、日々、様々な方に来訪をいただいております。本来ですと、こちらが出向いていかなければ会えない方が、万博ということで、来ていただけるということで、これはありがたいことだと思っております。
 石破総理も、これまで、数多くの首脳会談を実施していただきました。私(岩屋大臣)も、これまで18の国や国際機関のカウンターパートと会談を行いましたが、この後、モーリシャスの外務大臣と、冒頭申し上げたように、会談をさせていただきます。まだまだ続いていきますが、ぜひたくさんの方とお目に掛かりたいと思っております。
 それから、御指摘の中東諸国ですけれども、これまでアラブ首長国連邦、ヨルダン、イスラエル、パレスチナの外務大臣や閣僚などと会談を行いました。その際に、当然、中東地域の平和と安定に向けても意見交換を行ってきたところです。更に中東の方々とも、お目にかかってまいりたいと思っております。
 万博は、世界各国との交流を深め、日本の魅力を国際社会に発信する良い機会ですので、この機会を最大限に活用して、二国間関係を深めると同時に、国際社会の諸課題についても連携を図る機会にしていきたいと考えております。

TICAD 9

【時事通信 千葉記者】来月20日から開催されるTICAD 9についてお伺いします。アフリカ諸国には、中国など影響力を強めている中で、TICADを通じて、アフリカと日本が、どう関係構築を進めていきたいかということが一点と、あと前回のTICAD8では、当時、岸田首相はオンライン参加で、アフリカ諸国の首脳系の参加も少なかったですけれども、今回どのくらいの参加が見込まれているか2点合わせてお願いします。

【岩屋外務大臣】来月、横浜で開催するTICAD 9ですが、ここでは、経済、社会、平和と安定などについて、首脳が討議する本会議に加えまして、民間企業も参加する官民ビジネス対話、更に企業やNGOなどが主催する約200に近いテーマ別イベントが開催される予定です。
 TICAD8の時は、コロナの影響などもあって、そういう形になったのですけれども、TICAD 9では、例えば、AIなどのテクノロジー、最新テクノロジー、デジタル医療、そして、その他の日本の革新的な技術や知見を生かして、アフリカ・日本の双方の繁栄につながるような課題解決策を、何か一方的にこちらがするということではなくて、ともに力を合わせて作り上げると、そういう共創をしていく機会にしたいと考えております。
 現時点で、アフリカ各国からは40か国以上が参加を表明済みでございまして、TICADでは、数多くのバイの会談、二国間会談も実施される予定です。今回の機会を通じて、各国の課題に丁寧に向き合って、アフリカとの一層の関係強化につなげていきたいと考えております。

フェンタニル問題

【共同通信 阪口記者】冒頭、フェンタニルについての御発言あったと思います。米国のトランプさんが、メキシコからの流入等問題視する中で、このタイミングで日本政府からこういった発信をされる狙いについて、お尋ねできますでしょうか。よろしくお願いします。

【岩屋外務大臣】特段狙いがあるというわけではございません。このフェンタニルの問題についても、これまでもしっかり我が国は対応してまいりましたし、これからも、しっかり対策を講じていくということを申し上げたところでございます。
 一時期、日本が経由地になっているかのような報道もありましたけれども、そういうことではなくて、過去6年間、フェンタニルの密輸出入の摘発はないと承知しておりますので、引き続き、しっかりと対策を講じていきたいと考えております。

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